マンション標準管理規約5(第41条~)


第41条関係【監事】

標準規約
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
  1. 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
  2. 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
  3. 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
  4. 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決 議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
  5. 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
  6. 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場 合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。
コメント
  1. 第1項では、監事の基本的な職務内容について定める。これには、理事が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令又は規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含まれる。また、第2項は、第1項の規定を受けて、具体的な報告請求権と調査権につ いて定めるものである。
  2. 第4項は、従来「できる規定」として定めていたものであるが、監事によ る監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは、意見を述べなければならないとしたものである。ただし、理事会は 第52条に規定する招集手続を経た上で、第53条第1項の要件を満たせば 開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会における決議 等の有効性には影響しない。
  3. 第5項により監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、当該事実について検討することが必要である。第5項に定める報告義務を履行するために必要な場合には、監事は、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる旨を定めたのが、第6項である。さらに、第7項で、理事会の確実な開催を確保することとしている。

マンション標準管理規約TOPに戻る

第42条関係【総会】

標準規約
管理組合の総会は総組合員で組織する。
  1. 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
  2. 理事長は通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に召集しなければならない。
  3. 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を召集することができる。
  4. 総会の議長は理事長が務める。
コメント
(第3項関係) 災害又は感染症の感染拡大等への対応として、WEB 会議システム等を用いて会議を開催することも考えられるが、やむを得ない場合においては、通常総会を必ずしも「新会計年度開始以後2か月以内」に招集する必要はなく、これらの状況が解消された後、遅滞なく招集すれば足りると考えられる。
(第5項関係)総会において、議長を選任する旨の定めをすることもできる。

マンション標準管理規約TOPに戻る

第43条関係【招集手続】

標準規約
総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2ヶ月前)までに、会議の日時、場所(WEB 会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
  1. 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
  2. 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出の無い組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
  3. 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第1号、第2号若しくは第4号に掲げる事項の決議又は建替え決議若しくはマンショ ン敷地売却決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
  4. 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
  1. 建替えを必要とする理由
  2. 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
  3. 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
  4. 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
  1. 会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議案 の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
  1. 売却を必要とする理由
  2. 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項
  1. マンションが円滑化法第102条第2項第一号に該当するとして同条第1項の認定(以下「特定要除却認定」という。)を受けている場合 次に掲げる事項
  1. (1)建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第2項に規定する耐震改修又はマンションの建替えをしない理由
  2. (2)(1)の耐震改修に要する費用の概算額
  1. マンションが円滑化法第102条第2項第二号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合 次に掲げる事項
  1. (1)火災に対する安全性の向上を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由
  2. (2)(1)の改修に要する費用の概算額
  1. マンションが円滑化法第102条第2項第三号に該当するとして特定要除却認定を受けている場合 次に掲げる事項
  1. (1)外壁等の剝離及び落下の防止を目的とした改修又はマンションの建替えをしない理由
  2. (2)(1)の改修に要する費用の概算額
  1. 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
  2. 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
  3. 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において第1項の期間を短縮することができる。
コメント
(第1項関係)WEB 会議システム等を用いて会議を開催する場合における通知事項のうち、「開催方法」については、当該 WEB 会議システム等にアクセスするための URL が考えられ、これに合わせて、なりすまし防止のため、WEB 会議システム等を用いて出席を予定する組合員に対しては個別に ID及びパスワードを送付することが考えられる。
(第3項、第8項関係)所定の掲示場所は、建物内の見やすい場所に設けるものとする。以下同じ。
(第7項関係)総会と同様に、WEB 会議システム等を用いて説明会を開催することも可能である。
マンション標準管理規約TOPに戻る

第44条関係【組合員の総会招集権】

標準規約
組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的は建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2ヶ月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
  1. 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。
[※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定]
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
  1. 前2項により招集された臨時総会においては、第42条第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使するものを含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
  1. 前2項により招集された臨時総会においては、第42条第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使するものを含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。

第45条関係【出席資格】

標準規約
組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。
  1. 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。
コメント 理事会が必要と認める者の例としては、マンション管理業者、管理員、マンション管理士等がある。 マンション標準管理規約TOPに戻る

第46条関係【議決権】

標準規約
各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
  1. 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
  2. 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
  3. 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
  4. 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理 人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
  1. その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様 の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
  2. その組合員の住戸に同居する親族
  3. 他の組合員
  1. 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。
[※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定]
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(規定なし)
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
  1. 組合員は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。
  2. 組合員又は代理人は、第6項の書面の提出に代えて、電磁的方法によって提出することができる。
コメント
  1. 議決権については、共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
  2. 各住戸の面積があまり異ならない場合は、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能である。
  3. ①や②の方法による議決権割合の設定は、各住戸が比較的均質である場合には妥当であるものの、高層階と低層階での眺望等の違いにより住戸の価値に大きな差が出る場合もあることのほか、民法第252条本文が共有物の管理に関する事項につき各共有者の持分の価格の過半数で決すると規定していることに照らして、新たに建てられるマンションの議決権割合について、より適合的な選択肢を示す必要があると考えられる。これにより、特に、大規模な改修や建替え等を行う旨を決定する場合、建替え前のマンションの専有部分の価値等を考慮して建替え後の再建マンションの専有部分を配分する場合等における合意形成の円滑化が期待できるといった考え方もある。このため、住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。 この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わ ないものとする。なお、このような価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させるこ とが考えられる。
  4. 特定の者について利害関係が及ぶような事項を決議する場合には、その特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。
  5. 総会は管理組合の最高の意思決定機関であることを踏まえると、代理人は、区分所有者としての組合員の意思が総会に適切に反映されるよう、区分所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい。第5項は、この観点から、組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めることとした場合の規定例である。また、総会の円滑な運営を図る観点から、代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えられる。なお、成年後見人、財産管理人等の組合員の法定代理人については、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されている者であり、当然に議決権の代理行使をする者の範囲に含まれる。
  6. 書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を総会の招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる「委任状」。電磁的方法による提出が利用可能な場合は、電磁的方法を含む。)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。
    このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。そもそも総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。しかし、やむを得ず総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。
  7. 代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱についてトラブルとなる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくことが考えられる。
  8. WEB 会議システム等を用いて総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB 会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様であり、区分所有法第39条第3項に規定する規約の定めや集会の決議は不要である。 ただし、第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要がある。
マンション標準管理規約TOPに戻る


第47条関係【総会の会議及び議事】

標準規約
総会の会議(WEB 会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
  1. 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
  2. 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上の及び議決権総数の4分の3以上で決する。
  1. 規約の制定、変更又は廃止
  2. 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認 定を受けた建物の耐震改修を除く。)
  3. 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
  4. 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  5. その他総会において本項の方法により決議することとした事項
  1. 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
  2. マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総 数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。
[※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定]
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
  1. 前5項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
  1. 前5項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。

(共通)
  1. 第3項第1号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
  2. 第3項第2号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認めている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
  3. 第3項第3号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
  4. 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。
コメント
  1. 第1項の定足数について、議決権を行使することができる組合員が WEB 会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席組合員に含まれると考えられる。これに対して、議決権を行使することができない傍聴人として WEB 会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、出席組合員には含まれないと考えられる。
  2. 第2項は、議長を含む出席組合員(書面(電磁的方法による議決権の行使が利用可能な場合は、電磁的方法を含む。)又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数で決議し、過半数の賛成を得られなかった議事は否決とすることを意味するものである。
  3. 特に慎重を期すべき事項を特別の決議によるものとした。あとの事項は、会議運営の一般原則である多数決によるものとした。
  4. 区分所有法では、共用部分の変更に関し、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別多数決議)で決することを原則としつつ、その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については区分所有者及び議決権の各過半数によることとしている。(なお、共用部分の 変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、区分所有法第17条第2項(第18条第3項において準用する場合を含む。)の規定に留意が必 要である。(第8項参照))。
    建物の維持・保全に関して、区分所有者は協力してその実施に努めるべきであることを踏まえ、機動的な実施を可能とするこの区分所有法の規定を、標準管理規約上も確認的に規定したものが第47条第3項第2号である。
     なお、建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条の規定により、要耐震改修認定区分所有建築物の耐震改修については、区分所有法の特例として、敷地及び共用部分等の形状又は効用の著しい変更に該当する場合であっても、過半数の決議(普通決議)で実施可能となっている。
  5. 第1項の規定に基づき議決権総数の半数を有する組合員が出席する総会において、第2項に基づき出席組合員の議決権の過半数で決議(普通決議)される事項は、総組合員の議決権総数の4分の1の賛成により決議されることに鑑み、例えば、大規模修繕工事のように多額の費用を要する事項については、組合員総数及び議決権総数の過半数で、又は議決権総数の過半数で決する旨規約に定めることもできる。
  6. このような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。
  1. ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り外す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。
  2. イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻きつけて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
  3. ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
  4. エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実現可能と考えられる。
  5. オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実現可能と考えられる。
  6. カ)その他、集会室、駐車場、駐輪所の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
  7. 建替え決議及びマンション敷地売却決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係することから、賛成者、反対者が明確にわかるよう決議することが必要である。なお、第4項及び第5項の決議要件については、法定の要件を確認的に規定したものである。
マンション標準管理規約TOPに戻る

第48条関係【議決事項】

標準規約
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
  1. 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
  2. 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
  3. 収支決算及び事業報告
  4. 収支予算及び事業計画
  5. 長期修繕計画の作成又は変更
  6. 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
  7. 修繕積立金の保管及び運用方法
  8. 適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同法第5条の6第1項に基づく管理計画の認定の更新の申請及び同 法第5条の7第1項に基づく管理計画の変更の認定の申請
  9. 第21条第2項に定める管理の実施
  10. 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
  11. 十一区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
  12. 十二建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  13. 十三円滑化法第102条第1項に基づく除却の必要性に係る認定の申請
  14. 十四区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
  15. 十五第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
  16. 十六組合管理部分に関する管理委託契約の締結
  17. 十七その他管理組合の業務に関する重要事項
マンション標準管理規約TOPに戻る

第49条関係【議事録の作成、保管等】

標準規約
[※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定]
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
総会の議事については、議長は議事録を作成しなければならない。
  1. 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
  2. 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
  3. 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
  1. 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
  2. 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
  3. 前2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員が電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)2条第1項の「電子署名」という。以下同じ。)をしなければならない。
  4. 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
  5. 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
コメント
  1. 第3項の「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とならない。
  2. 電磁的記録の具体例には、磁気ディスク、磁気テープ等のような電磁的方式によるもの、ICカード、ICメモリー等のような電子的方式によるもの、CD-Rのような光学的方式によるものなどによって調製するファイルに情報を記録したものがある。
  3. 電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項の電子署名とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの)に記録することができる情報について行われる措置であって、次のア)及びイ)のいずれにも該当するものである。
  1. ア)当該情報が当該措置を行ったものの作成に係るものであることを示すためのものであること。
  2. イ)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
マンション標準管理規約TOPに戻る

第50条関係【書面による決議】

標準規約
[※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定]
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面による決議をすることができる。
  1. 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなす。
  2. 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。
  3. 前条第3項及び第4項の規定は、書面による決議に係る書面について準用する。
  4. 総会に関する規定は、書面による決議について準用する。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る組合員の承諾については、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
  1. 前項の電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。
  1. 電磁的方法のうち、送信者が使用するもの。
  2. ファイルへの記録の方式
  1. 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員の全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。
  2. 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。
  3. 前条第5項及び第6項の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第3項の電磁的方法が行われた場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
  4. 総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。
マンション標準管理規約TOPに戻る 第51条以降へ