マンションの避雷設備


避雷設備とは

雷が落ちてきた場合に、建物を直撃させず、受けた電撃を逃がすための設備が避雷設備です。
避雷設備詳細に関する参考サイト

マンションには2種類の避雷システムがあり、ひとつが避雷針で、もうひとつが避雷導体です。マンションには、このふたつのうち、どちらかが整備されています。
マンションの避雷針は、屋上から空に向かって立っている設備ですので、目につきやすいでしょう。
落雷は地上と上空の電位差によって発生します。避雷針は空中に放電し、地上と上空の電位差をなくしたり、少なくしたりして、落雷を避けます。
避雷針は保護範囲があり、回転球体の45度の角度の円錐形の部分については安全と言われています。

マンションの避雷導体とは、屋上の外壁立ち上がり部分に金属製の笠木を用い、これを避雷針の代わりにしています。マンションのデザイン上、避雷針をどうしても立てたくない、ということがありますが、避雷導体を使えば、外観にこだわったマンションが建てられます。
避雷導体(写真)は笠木に組み込まれるため外からは全くわかりませんが、性能は避雷針と同じです。

マンションの電気設備 避雷導体
(2009.5)
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避雷設備を設置していても、被害が発生することがありますか?

 避雷針で雷対策になりますか?
 建築物の落雷対策として避雷針は有効ですが、電気機器を雷から守りきれるわけではありません。

 避雷設備(避雷針)を設置していても、被害が発生することはありますか?
 避雷針に落雷した場合に、建物内にあるコンピューターや電話機などの電気機器が破壊されるといった被害が発生することがあります。

 なぜ、避雷設備(避雷針)を設置してるにも関わらず、被害が発生するのですか?
 避雷針への落雷電流の一部が建物内にも侵入する場合があるため、雷の電流が大きい場合には、電気機器や電子機器が故障することがあります。

北陸電力HPより
(2010.10)
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避雷設備の設置基準

避雷設備は、建築基準法33条により設置が義務付けられています。
また、その設置基準は日本工業規格JIS A-4201(建築物等の雷保護)に定められています。

建築基準法第33条
高さ20mをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでない。

(2010.10)
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避雷設備の検査及び保守

避雷設備の検査及び保守基準は日本工業規格JIS A-4201により次のように定められています。

4.2 避雷設備の工事が竣工したときは検査を行って、この規格の規定に適合していることを確かめなければならない。なお、設置極として水道給水管又は水道配水管を使用した場合は、竣工検査に水道事業管理者の立会いを要求する。

4.3 避雷設備は年1回以上次の検査を行って、この規格の規定に適合していることを確かめなければならない。もし規格に適合しない場合は、補修を行って適合させなければならない。ただし、3.2によって設置極を省略したものについては、(a)の測定を行わなくてもよい。
  1. (a)設地抵抗の測定
  2. (b)地上各接続部の検査
  3. (c)地上における断線・溶融その他の損傷箇所の有無の点検
4.3 検査の結果は記録して、3年間保存しなければならない。

検査項目
検査では次のような内容をチェックします。
  • 突針に傷みはないか?
  • 避雷針ポールの支線は腐食して傷んでいないか?
  • 避雷針ポールは腐食して錆びていないか?
  • 避雷針ポールの取付金物、取付台が腐食して錆びていないか?
  • 避雷針の配線に異常はないか?
  • 接触部はしっかり接触しているか?
  • 設地局部の設地抵抗値は正常か?

(2010.10)
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避雷針の保護範囲

避雷針の実際の保護範囲は、電撃の侵入してくる方向と、雷電流の大きさにより異なるため一概には言えません。日本工業規格では、保護レベルに応じて回転球体法、保護角法およびメッシュ法で避雷針の配置を定めています。

回転球体法
電撃距離を半径とした球体を2つ異常の受電部(大地含む)に同時に接するように回転させたときに、球体表面の包絡面から被保護物側を保護範囲とする方法。

保護角法
避雷針上端から、その上端の鉛直線に対して保護角で定める稜線の内側を保護範囲とする方法。
避雷針の保護範囲
北陸電力HPより
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