耐震等級とは
耐震等級は品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づき、2000年4月に施行された住宅性能表示制度で示される基準です。ランクは1~3の3段階に分かれており、数値が大きいほど耐震基準が高いという意味になります。
耐震等級の区分
耐震等級1
建築基準法で定められている新耐震基準と同じ強度を持っている建物であることを示すものです。
1981年6月に建築基準法が改正され、これが「新耐震基準」となります。
※建築確認日が1981(昭和56)年6月1日以降のもの
旧耐震基準と新耐震基準の違いは、旧耐震が中規模地震(震度5程度)で倒壊しないこと→新耐震は大規模地震(震度6~7程度)で倒壊しないこと、となっております。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震強度があることを示しています。
「長期優良住宅」として認定されるには耐震等級2以上の強度を持たねばなりません。
災害時の避難場所として指定される学校や病院・警察などの公共施設は、必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。
災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、その多くが耐震等級3で建設されています。
耐震等級の調べ方
新築マンションの場合
基本的にデベロッパーが耐震等級を決めています。そのため、購入を検討しているマンションのデベロッパーに確認しておきましょう。
ちなみに、一般社団法人住宅性能評価・表示協会の2019年データによると共同住宅の81.7%が耐震等級1とのことです。
中古マンションの場合
不動産会社に問い合わせをし、住宅性能評価制書を確認することで耐震等級がわかります。
住宅性能評価は任意なので、無くても問題はありません。無い場合には耐震診断が必要です(多額の費用がかかります)。
☞参考
耐震等級とは?(スマ研) 耐震等級とは?(ホームズ 住まいのお役立ち情報)
(2022.5)
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「
耐震強度」という言葉は、建物の地震に対する強さのことの意味で使われますが、これは一般の人に対し理解しやすい様にマスコミが使い出したもののようで、建築構造設計の分野においては基本的に使わない用語だそうです。
昭和56年(1981)に建築基準法施行令が改正され、同基準により、現在供給されているマンションは基本的に「
震度5程度の地震に対しては、建物の機能を保持することができ、
震度6程度の大地震については、建物にある程度の損害が発生しても人命を確保できること」という前提で設計されています。
「
耐震性能」とは、地震のエネルギーを吸収できる能力のことで、建物の強さと粘りに、建物の形状と経年状況を考慮して決められます。
建物の耐震性能を表す指標はls値(Seismic Index of Structure)といい、その値が大きいほど耐震性が高くなります。
安全の判定基準は Is≧0.6となっていますが、自治体によって異なり、安全側に1割増のIs≧0.7やIs≧0.8を要求する施主もいるので確認する必要があります。 一般的に公営住宅には0.6以上、学校施設では0.7以上が求められます。
☞参考
ウィキペディア「耐震診断」 鹿島HP「耐震診断について」
(2009.7)
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実施主体により説明内容が若干異なりますので、いくつか紹介します。
<
ウィキペディアより(抜粋)>
耐震診断の方法には、一次診断・二次診断・三次診断の3種類がある。
一次診断
主に壁量にチェック。 各階の柱と壁の断面積とその階が支えている建物重量から計算する最も簡便な方法。設計図面が残っていれば建物の詳細な調査を行わなくても短時間で計算できる。
二次診断
主に柱、壁の強さと粘りのチェック。梁は考慮しない診断方法である。 設計図面が残っていることが前提である。 コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、建物の劣化状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)などの調査が必要となる。
三次診断
柱、壁の強さと粘りに加え、梁を考慮した診断方法である。 設計図面が残っていることが前提である。 2次診断の柱と壁に加えて梁も考慮して計算する。高層建築や鉄骨造が対象となる事が多い。
<
耐震診断.jpより(抜粋)>
基本的な耐震診断の方法は1次診断と2次診断になります。
わかりやすく言うと
1次診断→簡単な耐震診断
2次診断→正確な耐震診断
となります。
補助金を利用したり、耐震補強工事をする場合は2次診断が必要になりますので通常2次診断を行います。
(耐震診断の費用より)
費用の目安は、建築物の大きさ・形状・構造、などにより異なりますが、
簡易診断で有れば
40万円~100万円程度です。
一次診断であれば、
50万円~200万円程度です。
二次及び三次診断であれば延べ面積に対して
700円/㎡から2,000円/㎡程度です。
耐震診断は建物が大きくなればなるほど診断費用は割安になります。逆に建物が小さいと診断費用は割高になってきます。
簡易診断とは既存の構造図を元に再度構造計算してやる事をいいます。
一次診断は既存の構造図を元に建物の強度を検討します。現場調査やコア抜き等を行い耐震診断を行います。
二次診断は精度の高い診断方法となります。基本的にRC造の耐震診断で用いられ、診断後に耐震補強や補助金を利用する際には二次診断を行っておく必要が有ります。
三次診断は主に鉄骨造の診断に利用され精度の高い診断となります。
<東京建設業協会 TOKEN耐震診断・改修ホームページ>
費用に関するページより
■鉄筋コンクリート造建物の耐震診断費用
建築物の形状・構造、診断の程度、設計図書の有無、現地調査の有無により異なりますが、総延べ面積に対して、500円/㎡から2,000円/㎡程度です。
(最低金額と最高金額に関するグラフ有り)
たとえば延床面積が2,000㎡の場合、耐震診断費用は最低で100万円、最高で400万円程度かかります。
<
JSDA 日本耐震診断協会より(抜粋)>
予備調査
調査の対象となる建築物の概要を把握し、本基準の適用の可否、現地調査で必要になる情報および資料を収集することを目的として行います。
1次調査
(1)構造部材の耐力を算定するために必要な材料強度、断面寸法
(2)経年指標に反映する建物の変形・コンクリートのひびわれ
(3)形状指標に反映する建物の形状
など。コンクリートの強度試験は通常は行いません。
2次調査
2次調査は、第2次診断法または第3次診断法による構造耐震指標の算定で必要となる以下の項目などについて調査します。
(1)構造部材の耐力を算定するために必要な材料強度、断面寸法
(2)構造きれつ及び変形の発生程度とその範囲
(3)変質・老朽化の程度とその範囲
2次調査は、調査担当者が現地建物を原則として仕上材の上から目視または簡単な寸法実測により実施します。ただし、必用に応じて仕上材の一部を取りはずした調査を行う必要があります。
精密調査
精密調査は、精度の高い診断や補強設計を行う場合にさらに正確に建物状況を把握する必要がある場合に、2次調査に加えて行います。
耐震診断費用の目安
鉄筋コンクリート造の耐震診断の費用は、延べ床面積が約1,000㎡以上で、意匠図・構造図がある場合で床面積1㎡あたりの単価は 1,500円~2,000 円程度です(但し、現地調査費用も含んだ料金です)。延床面積が1,000㎡以下の建物の耐震診断費用は2,000円/1㎡以上となり、面積が小さくなるにつれて1㎡あたりの単価は反比例して高くなります。
耐震ネットより※2022年現在ページ無し
耐震診断の費用について
2次診断を行う中規模の一般的な建物の場合、現地調査を含め400~500万円程度がひとつのめやすになりますが、実際には、建物の規模や実施する診断のレベルなどによって異なります。
認定の取得を考える場合は、そのための費用も必要になります。
また、設計図書の有無によっては大きく異なってきますので必ず見積もりを取りましょう。
「予備診断」などの名目で行っている無料のサービスなどを利用する方法もあります。
(2009.7)
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