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マンションに関する裁判事例

反対者を「危険加害者」扱い 名誉毀損認める(2009.7)

耐震補強工事等を計画していたマンションで、管理組合が工事反対者を「危険加害者」と表現した議事録を全戸配布し、区分所有者2名が名誉毀損として理事長らに損害賠償等を求めていた訴訟の判決が7月23日東京地裁であった。
裁判官は名誉毀損を認め、理事長に4万円ずつの支払を命じた。原告の着工差止め請求も認めた。

管理組合は平成15年に耐震診断受診後、耐震補強やスラブ床下構造の配管等の改修工事を計画していたが、手法をめぐり合意が難航。
同18年4月の臨時総会では中間法人設立や設計契約承認のほか、着工予定時期のめどを決議した。
ただ実施に必要な特別多数決議等はされず、平成19年8月の臨時総会議事録に工事反対者を「安全確保を妨げる『危険加害者』」、「『危険加害者』の妨害が実施の唯一の制約」などと記し、全戸配布した。

[マンション管理新聞 2009年9月15日号より]
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非居住区分所有者に特別管理費納入義務・役員被選任資格無し(2009.11)

全121戸のうち、43戸が非居住区分所有者のマンションで、1階店舗部分を2戸所有する区分所有者Aが、非居住区分所有者が役員になれないことや、特別管理費の納入義務などを定めた管理規約の無効を求めて管理組合を提訴した事案で、1審・福岡地裁判決はAの無効確認を棄却、2009年11月最高裁でも棄却され判決は確定した。

判決趣旨
裁判所は、非居住区分所有者に対して特別管理費を課すことが公序良俗に違反せず、区分所有法31条1項(一部の区分所有者のみ特別の影響を与える)の適用がない理由として、①非居住区分所有者に対しては居住区分所有者に比して通信費等が余分に発生する ②一般にマンションの管理については居住区分所有者が非居住区分所有者に比して大きな貢献をする ③本件マンションでは居住区分所有者のみが管理組合の役員としてその運営に携わり、マンションの住環境を良好に保つという責任を負う ④非居住区分所有者は居住区分所有者の貢献を前提として専有部分を使用収益している面がある、とした。

役員の被選任資格を非居住区分所有者から奪ってしまう規約の有効性については、①管理組合役員の職務がマンションの管理全体に及ぶ重要な職務であることに照らせば、緊急事態への対応や理事会への出席等の観点から、被選任資格を居住区分所有者に限定する必要性・合理性がある ②役員の被選任資格は専有部分の財産権自体に直接の影響を与えるものではない、とした。

コメント
(N弁護士)裁判所が示した理由で本当に適法と言えるのかどうかが疑問だ。
非居住区分所有者で役員になりたい人は、緊急事態になったら飛んで出てくるだろうし、出席もするでしょう。役員になりたい非区分所有者には、この必要性・合理性はまったく当てはまらないのではないか。
判決は財産権自体に直接の影響を与えるものではないと言っているが、区分所有建物において、自分の財産を管理しようと思ったら、管理組合に関わるしかないわけで、管理組合に関わることの一手段を奪われる、理事として議論をするとか、議題を設定するとか、本当に財産権自体に影響を与えないのか。

[マンション管理新聞 2010年第822号より]
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「一括受電」拒否で59条競売

高圧一括受電への変更工事を拒否した区分所有者に対し、59条競売請求
昨年12月、高圧一括受電への変更を決議した管理組合が、電力会社との契約切り換えにかかる解約の申込書を唯一提出しなかった区分所有者について「共同の利益に反する行為だ」などとして、区分所有法59条に基づく競売を求め横浜地裁に提訴した。

電気料金が削減できる同工事だが施工に当たっては全戸の解約が必要で、現在工事ができない状態となっている。
1月18日には第1回の口頭弁論が開かれた。

訴状によると、マンションは築30年超。昨年5月の総会で電気幹線の老朽化に伴う改修工事と、電気料金8%が削減可能な高圧一括受電システムの導入工事を特別多数で決議した。
決議の前後には、管理組合は住民に向け広報誌と説明会による周知を図っている。

その後事業者は申込書を各戸に配布、9月には回収したが、1戸の区分所有者だけが提出を拒否した。
この区分所有者は説明会と総会には出席せず、委任状や議決権行使書も提出していない。

管理組合は区分所有法59条に定める「他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利益の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとき」等に該当するとし、競売と工事中断等にかかる損害賠償を請求した。

管理組合側弁護士は「工事を実現するにはこの方法しかなかった」とする。
訴えが認められれば、競売にかけて落札した人に申込書を提出してもらう形となる、としている。

[マンション管理新聞 2010年1月25日号より]
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NPO法人管理士協会に大規模修繕工事の監理責任追及へ

大規模修繕の設計・監理・コンサル費用合計約134万円のうち、未払いの約97万円の支払いなどを求めて、大阪・阿倍野のマンション(住戸24・店舗等2)管理組合に対し て、設計・監理・コンサルを行ったNPO法人近畿マンション管理士協会(以下「管理士協会」)が、昨年8月、大阪簡裁に提訴していた裁判で、監理組合側は第3回弁論で、「工事に重大な瑕疵(かし)があり、設計・監理がちゃんと履行されていないために瑕疵が発生した」などとして、管理士協会と施工会社のベルテックに1千万円の損害賠償 を求めて反訴することを明らかにした。

訴状などによれば、管理士協会は管理組合と平成20年4月、大規模修繕工事の設計・監理・コンサルタント業務を行う契約を134万4千円で締結した。
管理士協会側は、1級建築士、マンション管理士兼行政書士が業務を担当。
一方、同年の臨時総会で管理組合は施工業者をベルテックに決定した。
翌21年2月に工事費1,890万円をかけ、同マンションでは初めての大規模修繕工事に着工、同年4月に引渡しが行われた。

契約では設計・監理・コンサル費用は、工事発注時に36万7千円、竣工時に残額の97万7千円を支払う条件になっており、管理組合は20年5月に36万7千円を支払った。
管理士協会は残額を請求。支払期限を経過しても管理組合は支払わなかったため、管理士協会は残額と遅延損害金の支払などを求めて大阪簡裁に提訴した。

監理組合側は準備書面で防水工事等の瑕疵を挙げ、仕様書ではバルコニー防水については、特定メーカーのウレタン塗膜防水塗装材と同等製品を使用し、施工後の防水膜の厚さは1.5ミリになるはずが、ベルテックは管理組合の承諾無く仕様書に無いメーカーの材料に変更、管理組合の調査では「防水膜の厚さが1.5ミリに満たない箇所が多数存在することが判明している」と指摘。

屋上防水では、仕様書では常温積層アスファルト防水で厚さ3ミリの使用部材を使用し、施工後の防水膜の厚さは3ミリ以上のになるはずが、管理組合の調査では無断で「塩ビ系シート 防水工法へと変更し、しかも工事施工後の防水膜の厚さが1ミリにすら満たず、それがため、防水の効果が期待できないことが判明した」としている。

その他、タイル補修についても問題を指摘。早ければ2月下旬にも提訴する予定だ。

[マンション管理新聞 2010年2月15日号より]
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排水管漏水事故 管理組合の過失認める

電気温水器用排水管の漏水事故で、管理組合の加入する保険会社A社が施設賠償保険の適用を拒否し、被害者が加入していた大手損保会社B社の団地保険から保険金が支払われ、 B社が保険代位で管理組合に約770万円の損害賠償を求めていた訴訟で、控訴審判決が1月、東京高裁であった。

裁判長は一審判決を変更し、たて管の管理に対する管理組合の過失と工作物保存の瑕疵を認め、弁護士費用を除く約700万円の支払を管理組合に命じた。
管理組合側は上告している。

裁判記録によると、埼玉県内の築約30年のマンション。
点検業者が電気温水器の貯湯タンクから排水した際、排水たて管の閉塞部から水が逆流し、専有リフォームして間もない住戸の床面等が汚損した。

調査報告書は管の閉塞原因を「異物や鉄錆」と指摘。
一審で、B社側は「管理義務を怠った管理組合の過失責任(民法709条)および共用部分の瑕疵が原因で発生したことによる管理組合の工作物責任(民法717条)がある」と主張。

管理組合側は「洗濯ばさみと思われる固形物の混入で管が閉塞し、賠償責任は混入者にある」と反論し、一審判決は排水管を「通常の安全性を欠くような状態にはなかった」と認め、原告請求を棄却した。

控訴審ではB社側は「管理組合の加入保険が支払を拒否したことから本件紛争は発生した」と指摘。
管理組合側の「共用部分は管理組合が専有しているのではない」との主張に対し、「それが理由で保険金が支払われないのであれば管理組合が保険に加入した意味は大きく損なわれる」と述べた。

控訴審判決で裁判長は「たて管の管理義務を負う管理組合は、錆が溜まっている場合には清掃を実施するなどの義務を負う」とし、「約26年間、点検も清掃もせず、その結果本件事件を惹起させたものであるから、管理組合には過失が認められる」と判じた。

また「閉塞部分があったのであるから、排水管として本来備えているべき性状を欠き工作物の保存に瑕疵があったことは明らか」とも述べ、管理組合を占有者と認めたうえで、「民法717条1項によっても損害賠償責任を負う」と管理組合に支払を命じた。

【参考:民法717条1項(占有者責任)】
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

[2010年第805号 マンション管理新聞より]
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