マンションの電気設備


電子ブレーカーとは

通常のブレーカーは熱を感知して作動するしくみとなっていますが、電子ブレーカーは実際に流れる電流値とその時間をCPUで制御、一時的な過電力について許容時間内であればブレーカーが落ちない仕組みとなっています。
この仕組みにより電力会社との契約容量を下げることが可能となり、電気の基本料金削減につながる、という製品です。

通常のブレーカー
通常のブレーカーは熱を利用しています。熱伝導率が違う金属は電流が流れ、設定した許容量(契約電力)以上の熱が加わることによって線がひん曲がり、それによってブレ―カーが落ちる、というしくみになっています。
(図:株式会社エスコのページより)

普通のブレーカーは
電子ブレーカー
一方、電子ブレーカーはCPUで制御しており、許容量(契約電力)を超えても、一定時間内であればブレーカーを落とさずに様子を見てくれます。
(図:株式会社エスコのページより)

電子ブレーカーの許容範囲
マンションでは従量電灯(電圧100V・照明器具等)と低圧電力(EVやポンプ等)の2種類あり、電子ブレーカーは低圧電力の費用削減のために用いられます。
例えば、以下の設備があるマンションで試算してみます。
電子ブレーカー03 低圧電力の契約について、消費電力合計で契約電力を算定する負荷設備契約をし、32kWの契約があったとしたら、月額はkW単価1,100円×32で32,000円ですが、
電子ブレーカーを導入し、メインブレーカーの容量(A)に基づき契約する主開閉器契約に変更すれば、契約電力12kWに変更、kW単価×20の減額、月額22,000円も削減することができるのです。
参考/株式会社エスコページ 
   負荷設備契約と主開閉器契約とは?アース電設株式会社ページ
(2021.2)
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受変電設備

電力の引き込み
電力会社からの建物への電源供給は。供給電圧によって「低圧引き込み」「高圧引き込み」「特別高圧引き込み」の3種類に区別されます。
区別の方法は、建物の使用電力により決定し、マンションの場合は各住戸の契約電力の合計と共用部分の総量で引き込み方式が決定します。

当該マンションの電力総量が50kW以上になると高圧引き込みに方式になり、敷地内に電力会社の借室変電設備(借室電気室)を設け、高圧から低圧に電圧を変換して各住戸に送電します。

借室電気室とは、電力会社が建物内に必要なスペースを無償で借り、住戸部分及び共用部分に必要な電圧の電力を供給する変電設備で、維持管理は電力会社が全て実施します。

マンションの電気設備 受変電設備
自家用電気工作物
電気需要者の電気工作物は、一般電気工作物と自家用電気工作物に区別され、おおよそ住戸及び一般的なマンションの共用部は、一般電気工作物になります。

大規模マンションの共用部契約電力が50kW以上の施設は、高圧引き込みとなり、「自家用電気工作物」に該当します。

「自家用電気工作物」の所有者は、電気事業法によって、経済産業資源エネルギー部施設課に対して、電気主任技術者の選任及び保安規定を工事着工前に届出し、建物完成後は保安規定に則った維持・運営を行わなければなりません。

なお、電気主任技術者の選任については、契約電力が一定容量までの自家用電気工作物は、電気保安協会等に委託する方法により電気主任者の不選任申請が可能です。

    キュービクルとは
    キュービクル式高圧受電設備(きゅーびくるしきこうあつじゅでんせつび)は、高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めたもので、単に「キュービクル」(Cubicle)とも呼ばれます。
    6,600Vで受電した電気はキュービクル内で100Vまたは200Vに変圧され、施設に供給されます。
キュービクル
電気工作物の維持管理
電気事業法では、電気保安確保のため、技術基準の遵守義務のほかに、自家用工作物の設置者に対して、電気主任技術者を選任させる義務や電気工作物の工事、維持及び運営に関する保安規定を定めるなどの義務を課しています。

また、住戸及び共用部等の一般電気工作物の維持は、その電気の供給会社(電力会社)が4年に1回調査し、不良箇所があれば、その一般電気工作物の所有者又は占有者に知らせる義務があります。

(2009.5)
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白熱電球・蛍光灯・LEDの違い

白熱電球
白熱電球と呼ばれる、いわゆる一般的な電球は、電気を通すフィラメント、電球を覆うバルブ(ガラス管)、口金(ソケット)により構成されています。

フィラメントは電気が流れることで2000度近い温度まで発熱し、同時にやや赤みを帯びた白光色を発します。これが電球の白光原理です。

白熱電球
バルブはフィラメントを保護するとともに、フィラメントの酸化(燃焼)や蒸発を抑えています。また、できるだけ寿命を保つために、不活性ガス(アルゴンと窒素の混合ガス)が封入されていま す。

電球と器具の差込部分に当たる口金は、その幅ごとに「E-26」などの名称がついていますが、これは国際的な基準(幅サイズ)に基づくものです。
ただし、「E-17」については日本のみのサイズで、シャンデリアやダウンライト、浴室の照明など、多くの場所で使用されています。

白熱電球
白熱電球の主な特徴は小型・軽量で、集光・散光・調光が可能なことです。あたたかみのある色で、効率の良いスポットライトなどの局所照明としても使用できます。
ただし、エネルギーのほとんどが熱として放出され、効率という面で考えると非常に悪いことから、省エネ効果が見込まれない照明として、各照明器具メーカーは白熱電球の製造中止を発表しています。

蛍光灯
蛍光灯は、ガラス管の中に放電しやすくするためのアルゴンガスと、ごくわずかな水銀が封入されており、内壁に蛍光体が塗布されています。
管の両端にはタングステンで作成された二重コイルのフィラメントが取り付けられた電極があり、コイルにはエミッタ(電子放出物質)が塗布されています。

蛍光灯
電子が出てくると、蛍光管の中にある水銀原子とぶつかり、紫外線を放出します。
紫外線は人の目には見えないため、見える光の波長に変えるために蛍光体を塗っています。紫外線はその蛍光体に当たると、可視光(人がみえることのできる光)に変わります。

LED
LED照明は、発光ダイオード(LEDチップ)を利用した照明です。
LEDチップは、P型半導体N型半導体PN結合したもので、一方向(順方向)にのみ電流が流れます。
順方向に電圧をかけると、LEDチップの中を電子と正孔が移動し、その途中で互いがぶつかります。
この状態では電子と正孔がもともと持っていたエネルギーよりも小さなエネルギーとなるため、その際に電子が保有しているエネルギーの一部が光のエネルギーに変換されることで発光します。

LEDは熱くないと思われがちですが、実際は発熱しています。
光には熱を含んでいませんが、照明器具には放熱部品によってLEDの熱を逃す工夫がなされています。

・PN結合や正孔など、LEDのしくみはこちら
 「LEDのしくみ」について、Flashによりわかりやすく説明されています↓

LEDのしくみ
記事内容参考:@MONOist 【電気機器】

(2009.10)
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