区分所有法 3 (第22条~第46条)


第22条【分離処分の禁止】

敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない
  1. 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
  2. 前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。
例外的に分離処分が可能になる場合は、縦割り長屋や小規模なタウンハウスなど。 区分所有法 TOPに戻る

第23条【分離処分無効の主張の制限】

前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がなされたときは、この限りではない。
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第24条【民法第二百五十五条の適用除外】

第二十二条第一項本文の場合には、民法第二百五十五条(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない。
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第25条【選任及び解任】

区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
  1. 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。

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第26条【権限】

管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
  1. 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合も含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
  2. 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
  3. 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告になることができる。
  4. 管理者は、前項の規約により原告又は被告になったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。

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第27条【管理所有】

管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
  1. 第六条第二項及び第二十条の規定は、前項の場合に準用する。

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第28条【委任の規定の準用】

この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。
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第29条【区分所有者の責任】

管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、第十四条に定める割合と同一の割合とする。ただし、規約で建物並びにその敷地及び附属施設の管理に要する経費につき負担の割合が定められているときは、その割合による。
  1. 前項の行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
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第30条【規約事項】

建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
  1. 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。
  2. 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
  3. 第一項第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
  4. 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、時期的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。
第3項について この規定は平成14年の改正時に追加されたものです。新築マンションの分譲時に分譲業者は規約案を作成することができますが(45条)、従前は、分譲業者の中には、分譲後の自己または等価交換方式で区分所有者となる地主の利益を図るために、駐車場専用使用権を無償で取得することを定めたり、管理費の割合を低くしたりするものがいて、裁判で争われたりしたのですが、有効・無効の判断基準が明確ではなかったので、法改正によりその判断基準を明確化、具体化しました。参考[マンション法の解説] 区分所有法 TOPに戻る

第31条【規約の設定、変更及び廃止】

規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
  1. 前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対するときは、することができない。
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第32条【公正証書による規約の設定】

最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。
引用条文の項目はそれぞれ、①規約共用部分の定め、②規約敷地の定め、③専有部分と敷地利用権の分離処分を許す定め、④各専有部分に係る敷地利用権の割合に関する定め
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第33条【規約の保管及び閲覧】

規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
  1. 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
  2. 規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

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第34条【集会の招集】

集会は、管理者が招集する。
  1. 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
  2. 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる
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第35条【招集の通知】

集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる
  1. 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がいないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
  2. 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
  3. 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
  4. 第一項の通知をする場所において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。

5項が引用する条文はそれぞれ、①共用部分の重大変更、②規約の設定・変更・廃止、③建物の大規模滅失の場合の復旧、④建物の建替え、⑤団地内の区分所有建物につき団地規約を定めることについての各棟の承認、⑥団地内の2以上の特定の区分所有建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付す旨の決議 区分所有法 TOPに戻る

第36条【招集手続の省略】

集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
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第37条【決事項の制限】

集会においては、第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。
  1. 前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない
  2. 前二項の規定は、前条の規定による集会には適用しない。

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第38条【議決権】

各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合による。
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第39条【議事】

集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
  1. 議決権は、書面で、又は代理人によって行使することができる。
  2. 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によって議決権を行使することができる。

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第40条【議決権行使者の指定】

専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。 区分所有法 TOPに戻る

第41条【議長】

集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。 区分所有法 TOPに戻る

第42条【議事録】

集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
  1. 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
  2. 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。
  3. 第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置をとらなければならない。
  4. 第三十三条の規定は、議事録について準用する。
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第43条【事務の報告】

管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
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第44条【占有者の意見陳述権】

区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合は、集会に出席して意見を述べることができる。
  1. 前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
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第45条【書面又は電磁的方法による決議】

この法律又は規約により集会において決議すべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。
  1. この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。
  2. この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。
  3. 第三十三条の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第一項及び第二項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
  4. 集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。
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第46条【規約及び集会の決議の効力】

規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
  1. 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
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