管理組合法人



管理組合法人の設立

管理組合(一部管理組合も含む)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別決議)により、法人格を取得することができます(区分所有法第47条1項)。

具体的な手続きとしては、①法人となる旨、②「管理組合法人」という文字を用いた法人としての名称、及び③事務所を定めたうえで上記の決議を行い、その事務所の所在地において、法人設立の登記をすることが必要です。
管理組合が法人格を取得すると、管理組合名義での不動産の登記ができるなど、管理組合の財産と構成員の財産の区別が明確になるなどのメリットがあります。
ただ、この点以外では、法人化していない管理組合と実質的な差異はほとんどありません。

☞参考:「楽学 管理業務主任者」(BOOK) (2011.1)
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管理組合法人の理事

管理組合法人には、必ず理事を置かなければなりません(法49条1項)。理事は管理組合法人を代表するとともに、その業務を執行する権限と責任を有します(法49条3項)。
「管理者」の存在は不要なので、管理組合法人において管理者が選任されることは無く、法人になる前に管理者がいた場合は、法人化によって自動的に退任したことになります。
理事の員数には制限が無く、複数の理事をおくこともできます(法49条4項)。また、規約で制限されていない限り、区分所有者以外の者を理事とすることも出来ますが、管理者と違って法人を理事とすることはできないと解されています。
理事の任期は原則として2年ですが、3年以内の範囲であれば、規約で別段の定めをすることもできます(法49条6項)。

理事の権限
理事は、管理組合法人を代表する権限を有します(法49条3項)。
代表権の範囲は、規約又は集会の決議により制限される場合及び管理組合法人と理事の利益が相反する場合を除いて、管理組合法人の一切の事務に及びます。

理事が数人いる場合は、各自管理組合法人を代表するのが原則ですが、規約又は集会の決議によって、管理組合法人を代表すべき理事を定めたり、共同代表制をとることも認められますし、また、規約で、代表理事は、理事の互選によって定める旨を規定することもできます(法49条4項・5項)。
しかし、理事の代表権に加えた制限は、この制限を知らない(善意の)第三者には対抗できません(法49条の2)。

☞参考:「楽学 管理業務主任者」(BOOK) (2011.1)
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管理組合法人の監事

管理組合法人には、理事のほか、監事も必ず置く必要があります(法50条1項)。
監事の選任・解任、任期については理事とまったく同様であり、監事の員数についても制限はありません。
監事は、理事や管理組合法人の使用人を兼ねることはできません(法50条2項)。自分の行為を自ら監査することになってしまうからです。

監事の職務は、①管理組合法人の財産状況の監査、②理事の業務執行状況の監査、③財産状況又は業務執行につき法令・規約違反または著しく不当な事項を発見したときの集会での報告、④③の報告をするために必要があるときは集会を招集することです(法50条3項)。
また、管理組合法人と理事の利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する権限があります(法51条)。

☞参考:「楽学 管理業務主任者」(BOOK) (2011.1)
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管理組合法人の解散

管理組合法人は、次の場合に解散します(法55条1項)。
  1. 建物の全部が滅失したとき
  2. 建物に専有部分がなくなった場合
  3. 集会で解散の特別決議がなされた場合
これ以外の理由で管理組合法人が解散することはありません。
管理組合法人が解散したときは、清算手続を行います。この清算手続が完了するまでは、なお管理組合法人は存続するものとみなされます。
管理組合法人の残余財産は、規約に別段の定めがあるときを除いて、専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属することになります(法56条)。

☞参考:「楽学 管理業務主任者」(BOOK) (2011.1)
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法人化のメリット・デメリット

メリット
  1. 法律関係が明確になること
    管理組合法人は、その名において、権利を取得し、義務を履行することができるので、法人の名で不動産を取得し、登記をすることができます。なお、法人化していない場合には、区分所有者全員の名義または代表者個人の名義でしか登記することができません。
  2. 取引の安全及び円滑化が図れること
    管理組合法人となることによって、その法人の存在とその代表者の資格が法人登記により公示されますので、第三者(例えば、当該物件の購入予定者、電気・水道・ガス等の供給者など)は安心してこの法人と取引することができます。

デメリット
  1.  事務の手間と経費が増える
    管理組合法人となることによって、登記事項(例えば、役員)に変更が生ずるたびに変更登記をしなければならないほか、財産目録や組合員名簿の作成が義務付けられておりますので、事務の手間と経費が増えることになります。

※登記費用の目安 法人設立12万円前後 役員変更4万円前後
(登記費用については司法書士事務所にお問い合わせ下さい)

☞参考:よしだ司法書士事務所HP
(2011.1)
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