区分所有法


建物の区分所有等に関する法律
第1章 建物の区分所有

第一節 総則

第二節 共用部分等

第三節 敷地利用権

第四節 管理者

第五節 規約及び集会

第六節 管理組合法人

第七節 義務違反者に対する措置

第八節 復旧及び建替え

第二章 団地

第三章 罰則

附則



区分所有法の概要

区分所有された建物の「専有部分」と「共有部分」
一つの建物が区分所有されているとき、区分された部分を所有する権利を「区分所有権」、その権利を所有する人を「区分所有者」、その所有された部分を「専有部分」
専有部分以外を「共有部分」といいます。
マンションでは、原則として、壁やサッシ、ドアで区切られた内側が専有部分となり
それ以外は共用部分となります。柱や壁のコンクリート部分やバルコニーも共用部分となります。

区分所有された建物と土地の関係
区分して所有されている建物の部分を所有する権利は区分所有権ですが、これに対応する 土地についての権利を「敷地利用権」といいます。
敷地利用権は、マンションの建っている土地が区分所有者で共有されているときは、土地全体の何分の何という形で決められています。
区分所有者と敷地利用権は一体のものとされていて、別々に処分することはできません。

マンション管理組合とは
区分所有法では、マンションの管理を行うための区分所有者全員からなる団体が定められています。マンションでは一般的にマンション管理組合(以下「組合」といいます)といわ れています。
管理組合は、マンションの共用部分の管理や修繕などについて、集会を開くなどして規約やその他の必要なことを決め、マンションを運営していきます。

規約とは
マンションの管理を行う上でのルールを定めるのが「規約」です。
一般的には管理規約と呼ばれています。
この規約には、管理組合の運営方法や、専有部分・共有部分の範囲や使用方法、管理費や修繕のための積立金の額など、マンションの管理に必要な様々な内容を定めることがで き、管理のための憲法ということもできます。
規約は、管理組合が開く集会で、区分所有者の3/4の賛成を得て作成することができ、また変更したり廃止したりすることができます。

大規模な修繕を行うときには
マンションの外壁を塗り替えたり、古くなった配管を取替たりする大規模な工事が伴うマンションの修理(修繕)を大規模修繕といいます。
大規模修繕を行う必要性やその箇所、内容は、専門家で交えて検討し、最終的には区分所有者が参加する集会における過半数で実施を決定しますが、共用部を著しく変更する大規 模修繕工事は3/4以上の賛成が必要となります。

建替えを行うときには
区分所有者の4/5以上の賛成によりマンションを建替えることを決められます(建替え決議といいます)。
団地全体を建替えるときは団地全体4/5以上、それぞれの棟の2/3以上の賛成を得る必要があります(団地一括建替え決議といいます)。
また団地の一部を建替えるときは建替える棟の建替え決議(4/5以上)と、団地全体の3/4以上の賛成を得る必要があります(団地建替え承認決議といいます)。

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区分所有法の改正経緯

当初法
建物の区分所有等に関する法律(昭和37年4月4日法律第69号)
施行:昭和38年4月1日

わが国初の分譲マンションが東京に建設されたのは、昭和31年のことでした。
その後、経済の高度成長に伴う大都市への人口の集中および宅地不足のために、中高層のマンションの数は増加の一途をたどり、昭和40年代に起こった「マンションブーム」は、都会だけではなく、地方都市へも普及し、中高層マンションが全国の都市に林立するようになりました。
こうしたマンションの急増に伴って、マンションをめぐるトラブルも多発するようになりました。
マンションでは一棟の建物内に多くの人々が密接した状態で生活しているために、利害が衝突しやすく、トラブルが発生しやすいといえます。
そこで、マンションなどの区分所有建物をめぐって生ずる法律問題を解決する法的基準を示すとともに、トラブルの発生を未然に防ぐことを目的として、昭和37年に「建物の区分所有等に関する法律」が制定されました。
なお、その後のマンションの急増に伴い新たな問題が生じ、それに対処するために昭和58年および平成14年に改正されました。

昭和58年改正
建物の区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律
(昭和58年5月21日法律第51号)
施行:昭和59年1月1日
<主な改正内容>
・共用部分の変更
  (軽微な変更以外:全員同意→3/4以上の賛成)
  (軽微な変更:3/4以上の賛成→1/2以上の賛成)
・規約の変更
  (全員同意→3/4以上の賛成)
・30人以上の区分所有者で管理組合法人を設立
・建替え決議の導入
  (4/5以上の賛成と費用の過分性要件等)
・団地関係
  (団地管理組合の位置付け、団地共用部分の明確化) 等

平成14年改正
建物の区分所有者等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律
施行:平成15年6月1日
<主な改正内容>
・共用部分の変更
  (通常の大規模修繕:3/4以上の賛成→過半数の賛成)
  (形状の著しい変更を伴うもの:3/4以上の賛成(変更なし))
・建替え決議要件の明確化
  (過分性費用要件、同一敷地・同一用途要件廃止)
・団地内の建物の建替え承諾決議、団地の一括建替え決議の制定
・管理組合法人化の人数要件の撤廃  等
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区分所有法に「理事長」無し

管理組合では、総会で理事長ほか、理事や監事などの役員が選任され、管理組合の執行機関として理事会が開催されますが、区分所有法には「理事長」や「理事会」についての定めはありません。
管理組合法人の場合にのみ理事・監事がおかれ、「代表理事を定めることができる」とされています。
一般の管理組合の場合には、「管理者」を「選任することができる」とされています。
また「総会」という言葉も無く、区分所有法上では「集会」といいます。

(2010.3)
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