民泊2

【2017.1.13大阪地裁】民泊営業は規約違反

管理規約に違反し、居室でいわゆる「民泊」を行っていた区分所有者の男性に対し、共同の利益が害されているとして、大阪市内の管理組合が区分所有法57条1項に基づき、民泊としての居室の使用停止と弁護士費用50万円の支払を求めた訴訟の判決が1月13日、大阪地裁であった。
池田聡介裁判官は、民泊営業は管理規約に「明らかに違反するもの」だと判断、ごみの放置などが「共同の利益に反するもの」だと認定し、区分所有者側に50万円の支払を命じた。区分所有者が裁判中に部屋を売却したため、使用停止請求は棄却した。

裁判資料によれば、男性は2007年に大阪・日本橋の15階建てマンション(築14年、約70戸)の10階の1住戸(約70㎡)を購入。14年11月ごろから仲介業者のサイトを通じて申し込んだ外国人旅行者ら2~7人のグループに1日当たり1万5,000円で貸す営業を開始した。利用期間は最長9日程度。

管理規約では、住戸部分の用途は住宅か事務所と規定され、事務所利用はできた。管理組合は男性に規約違反や住民の苦情などを通知したが改善されず、15年3月に規約を改正し実質的な宿泊施設等としての使用を禁じる規定などを整備した。

<改正内容>
区分所有者は、その専有部分を次の各号に掲げる用途に使用するものとし、他の用途に供してはならない。
1.住戸部分は住宅もしくは事務所として使用する

1.住戸部分は住宅もしくは事務所として使用し、不特定多数の実質的な宿泊施設、会社寮等としての使用を禁じる。なお、本号の規定を遵守しないことによって、他に迷惑または損害を与えたときは、その区分所有者はこの除去と賠償の責に任じなければならない


その上で男性に勧告等を行ったが従わなかったため、管理組合側は昨年1月、区分所有法57条に基づく行為の停止等と損害賠償を求めて提訴した。区分所有者側は、弁護士に依頼しない本人訴訟。提訴から9ヵ月後の10月に住戸を第三者に売却した。

裁判で管理組合側は規約違反や、不特定多数を対象に募集し繰り返し有償で宿泊させる行為で許可が必要な「旅館業法にも違反している」と指摘した。
具体的に生じた問題として、オートロックを解除する住戸の鍵が屋外の金網に設置したキーボックスに保管し使用されるなど「セキュリティーが守られていない」と主張。夜中の騒ぎ声や所定場所以外へのゴミの放置、月10階程度に増加した非常ボタンの誤用事故などを訴えた。
男性は短期間の賃貸借契約であり、保健所等に確認し「旅館業法に違反しない形で行っている」と反論。区分所有者の経済的利益を「理事や理事会の好みで不当に制限されることがあってはならない」と主張した。

池田裁判官は、男性の賃貸営業はインターネットで広く募集し約1年9ヶ月に利用者も多数いる点などから、実質的には「不特定の外国人旅行者を対象とするいわゆる民泊営業そのもの」だと認定した。民泊営業は、管理規約の改正前後を通じて明らかに違反するもの」だと判断し、旅館業法からも「脱法的な営業に当たる恐れがある」とした。

☞参考 マンション管理新聞 2017年1月25日号
(2017.2)
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