マンションのエレベーター


安全基準に関する法令改正の経緯について

日本では大きな事故が起こるたびに安全基準が見直されてきました。

1998年改正
1995年の「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」で、エレベーターのおもりブロック脱落、機器の転倒・破損、ロープ類の引っ掛かりが多数発生。
→1998年にそれぞれ耐震強化策を追加。

2009年改正
2005年の千葉県北西部地震でエレベーター閉じ込め事故、2006年に港区シティハイツ竹芝で戸開走行事故が発生。
戸開走行保護装置・予備電源を設置した地震時等管制運転装置、この2つの設置を義務付け。

2014年改正
2011年の東北地方太平洋起き地震で事故が発生。
→耐震強化を目的として耐震関係告示が制定される。

参考:PDF「利用者の安全と安心を支えるエレベーターの地震対策機能・サービス
    PDF「エレベーターの閉じ込め防止対策」 (東京都)
    PDF「法令改正と昇降機技術基準の解説 2014年度版の発行」(一般社団法人日本エレベーター協会)

(2022.11更新)
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戸開走行保護装置・地震時等管制運転装置について

日本では大きな地震が起きるたびに、閉じ込めを最小限にするよう改訂がなされてきました。
また2006年に発生したエレベーターでの死亡事故を受け、2009年、国土交通省は建築基準法施行規則及・建築基準法施行令の一部改正し、エレベーターの設置基準を大幅に見直しました。

ポイントは大きく2つ、ひとつは戸開走行保護装置で、もうひとつは予備電源を設置した地震時等管制運転装置、この2つの設置が義務付けられました。

戸開走行保護装置(UCMP)
エレベーターには、エレベーターを動かしたり止めたりする「駆動装置」と、エレベーターの各種機能を制御する「制御器」があります。
「戸開走行保護装置」は、その駆動装置または制御器に何らかの故障によりエレベーターのドアが開いたままで動き出してしまった場合、自動的に緊急停止させるシステムです。

地震時管制運転装置
地震には、初期微動のP波と本震のS波があります。
地震はなるべく早く検知した方がそのあとの対応もとれるので、初期微動を感知するP波感知器付地震時管制運転装置の方がより安心です。
今回の改正では、地震時管制運転装置にP波感知器を付けること、また停電の際にも対応できるよう予備電源の設置が義務付けられました。

地震時管制運転装置

既存不適格とは
現時点で存在している建築物は、建築された当時の法令に基づいて建築されています。そのため、建築基準法令が改正されると、新しい法規に適合しない ことがあります。
その場合、現時点の建築物(既存建築物)は 、新たに定められた法令の規定が適用されないことが定められています 。これが「既存不適格」です(法第3条第2項)。
年1回の法定定期検査で「既存不適格」の指摘を受けますが、改修を義務付けるものではありません。

☞東京都都市整備局発行『エレベーターの閉じ込め防止対策 機器の耐震性強化及び地震時管制運転装置』
☞国土交通省発行『エレベーターの定期検査と既存不適格について』
(2020.7更新)
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【参考】災害時、そのときエレベーターは?

地震のとき
地震時管制運転システムを搭載しているエレベーターは、地震感知器が作動して自動的に停止します。

停電のとき
  • 乗りかご内は、停電灯用のバッテリーが起動して停電灯が点灯します。
  • 停電時自動着床装置が装備されていれば、自動的に最寄階まで運転し、待機します。

今、日本にあるエレベーターはほとんどが「ロープ式」ですが、ロープ式には最低3本の頑丈なロープがつながっていて、そのうち2本が切れても大丈夫です。仮に3本切れたとしても、安全装置がカゴをロックするので落下はしません。

エレベーター内に地震に襲われた場合、災害対策が備わっているマンションであれば、押された階の予約はキャンセルし、最寄の階で停止してくれますが、そうでないことも想定して、揺れを感じたら階のボタンを全部押しててください。そうすることで、どこかの階で停止してくれる可能性が高くなります。
もし運悪くエレベーターに閉じ込められたら、インターホンで救助を要請してください。停電時でもインターホンはつながるようになっています。

☞参考 防災・防犯ラボ「東日本大地震では約200件、もしエレベーターに閉じ込められたらどうする?」
(2012.10)
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