マンションの電気設備3


電気のはなし①~電気ってなんだろう~

物質の性質を失わない最小の単位を「分子」
分子を作っている元素の粒子を「原子」といいます。
例えば、水の原子と分子は以下のようになります。

原子と分子
分子を構成する原子は全部で106種類あり、これを組み合わせることですべての分子をつくることができますが、実はこの原子が電気の泉なのです。

原子の構造は宇宙の太陽系によく似ていて、ちょうど太陽のまわりをいくつかの惑星がグルグルと回っているのと同じような構造をしています。
原子の構造
原子を分析すると、太陽に相当する原子核という1つの粒の周りを、電子がグルグル回っています。
原子核は陽子と中性子で構成されており、陽子と電子は同じ数が含まれています。

陽子と電子は引き合い、陽子同士・電子同士は反発します。
この電子と陽子が持っている性質を「電気」といい、それぞれ、陽子の持つ電気をプラスの電気(正の電気)といい、電子のもつ電気をマイナスの電気(負の電気)といいます。
普通の原子はプラスとマイナスが0になっていて電気的に「中性」です。
しかし外から何らかのエネルギーが加わりバランスが崩れて電子が自由に飛び回ると(電子は自由電子という)、「帯電した」という状態になります。
そしてこの自由電子がプラスの電気を持つ陽子に引き寄せられて移動する、電子の流れを「電流」というのです。

したがって・・・自由電子が多く含まれているほど電気を通しやすくなります。
金属は自由電子が多く含まれ、電気をよく通します。このような物質を「導体」といいます。
反対に、自由電子が存在しない物質を「絶縁体」または「不導体」といい、ガラスやゴム、ビニールなどがこれにあたります。
またあるときは導体、あるときは絶縁体という、性質を変化させる物質を「半導体」といい、代表的なものとしてシリコン、ゲルマニウムがあります。
参考著書「イラストでわかる建築電気エレベータの技術」
(2009.6)
マンションの電気設備 TOPに戻る

電気のはなし②~静電気~

私たちのもっとも身近に起こる電気現象の1つに静電気があります。
そして、スケールのでかい、恐ろしい静電気現象は雷です。

静電気は物を摩擦したときに現れるので摩擦電気ともいいますが、では、何でも摩擦すれば静電気が起きるかというと、そうではありません。
電気を通さない物質、つまり絶縁体同士を摩擦することにより、静電気が生じるのです。
静電気
それでは絶縁体を摩擦するとなぜ電気が生じるのでしょうか。
それは摩擦することによって物質の局部的な温度が上昇し、その物質を構成している原子が激しく揺さぶられ、そのエネルギーによって一方の物質の内部から飛び出した電子が、相 手の物質に付着するため電気が発生するのです。

この電気は物質からの電子の飛び出しやすさによって特徴づけられますが、温度や湿度によって影響されます。
いずれにしてもこの電気は絶縁体に生じるため逃げる(移動する)ところがなく、その物質の表面に留まってしまいます。

つまり電気を帯び「帯電」することになり動きません。
このため「静電気」とよび、一般の電気、つまり自由電子が物質内を動くタイプの「動電気」と区別するのです。

例えば、ガラスと絹の布の両者はいずれも陽子のプラスとその周りの電子のマイナスが打ち消しあって電気的に中性です。
この両者をこすり合わせる(摩擦する)と、ガラスの一部の電子が絹布に奪われ、ガラスがプラスの電気を帯び、絹布がマイナスの電気を帯びる(マイナスに帯電する)のです。

参考著書「イラストでわかる建築電気エレベータの技術」
(2010.4)
マンションの電気設備 TOPに戻る


電気のはなし③~静電気その2~

空気は絶縁気体で自由電子が無く、電子の移動は起こらず、電流は流れません。
しかし静電気が大きかったり(電圧が高い)、帯電物質と導体(金属)の間隔が接近し過ぎたり、また空気の湿気が低いなどの条件が整うと、絶縁体である空気中に電流が流れることがあります。

このように気体などの絶縁体をはさんだ導体間や空気中に置いた2つの電極間に高い電圧を加えると、電圧の大きさや絶縁体の状態などによって、導体間に電流が流れるようになりますが、この現象を「放電」といいます。

そして空気などの気体を介しての放電を「気体放電」といいます。

一般に、空気などの気体に非常に大きい電圧を加えると、電子が雪崩れ(なだれ)のように急激に流れ始めるため、大きな電流が流れるという、「絶縁破壊現象」が起こり気体放電するわけです。

気体放電はコロナ放電、グロー放電、アーク放電、火花放電などの種類があります。

どんな時に静電気が起こりやすいか?
静電気は空気が乾燥していると起こりやすく、空気が湿るほど生じにくくなり、湿度が55%以上になると静電気は生じません。

参考著書「イラストでわかる建築電気エレベータの技術」
(2010.4)
マンションの電気設備 TOPに戻る

電気のはなし④~静電気その3~

身体にビリッとくる静電気は電圧が相当高く、例えば暗やみで衣服を脱ぐとパチパチ音とともに火花が見えるほどで、3000~5000(V)ぐらいになります。
電柱の一番上にある高圧電線の電圧が6,600V、電車の架線の電圧が1500Vですから、静電気の電圧がいかに高いかがわかるでしょう。

このような高圧なのに、なぜ感電死しないかというと、流れる電流がごくわずかなためです。
しかし、静電気が大きな災害や事故につながることもあります。
例えば、ガス漏れしている部屋で、私たちの衣類に溜まっている静電気がバシッと火花放電すれば、ガスに引火し、ガス爆発につながります。

もっと怖い静電気は雷さまです。

雷さま
天空でゴロゴロととどろく雷さまも静電気現象で、その電圧は大きいときで10億Vにもなり、こうなると絶縁体の空気などものともせず、どこでも気体放電、いわゆる火花放電し、流れる電流は40,000アンペア(A)にもなります。

雷雲内部だけで放電している分にはましですが、ときどきピカ!ゴロ!バシッ!と地面に放電、つまり「落雷」するので困ります。

このように静電気の現象は生活上、困ることが多いようですが、役立っている例も多くあります。
例えば日常、何気なく使っている食品用ラップは、ロールからはがすときに生じる静電気で容器とラップを密着させるのです。
コピー機は静電複写機とも言われるほど、静電気の原理が応用されています。

<おまけ>もしも野原で雷に会ったら、地面に伏せてじっと待ちましょう。

参考著書「イラストでわかる建築電気エレベータの技術」
(2010.4)
マンションの電気設備 TOPに戻る