マンション建替え2



建替え決議まで④~決議の進め方

区分所有法に基づく建替え決議は、区分所有者及びその議決権の各5分の4以上の多数の賛成により成立しますが、その手続きに不備があると決議が無効になってしまうこともあります。
法律に定められた手続きに従って、次のように進める必要があります。

<建替決議までと その後の流れ>
建替え決議の手続き
<建替決議までの流れ②>
マンション建替え流れ④
通知事項・説明事項
区分所有法35条に基づく通常の召集通知に加えて(①・②)、62条5項に基づく事項(③~⑥)が必要になります。
  1. 集会の目的
  2. 議案の要領
  3. 建替えを必要とする理由
  4. 建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持または回復をするのに要する費用の額及びその内訳
  5. 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
  6. 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

決議事項
62条2項に基づき次の内容が必要になります。
  1. 新たに建築する建物(以下「再建建物」という)の設計の概要
  2. 建物の取壊しおよび再建建物の建築に要する費用の概算額
  3. 上記の費用の分担に関する事項
  4. 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

☞参考:マンション再生協会発行「マンションの再生」
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団地型マンションの場合(一括建替え決議)

団地型マンションは、区分所有法70条の一括建替え決議に基づいて、団地内建物の全ての建物について建替えの意思決定を行います。ただし、この制度は団地の構成や権利関係により適用できない場合があるので注意が必要です。
一括建替え決議は、区分所有者及びその議決権の各5分の4以上の賛成に加えて、建物毎に区分所有者及びその議決権の各3分の2以上の賛成が必要です。

一括建替えの適用条件
  1. 団地内建物の全部が区分所有建物であること
  2. 当該団地内建物の敷地が当該団地内建物の区分所有者の共有にあること
  3. 団地管理組合の規約により、団地内の建物が管理の対象とされていること

団地型マンションの場合
☞参考:マンション再生協会発行「マンションの再生」
(2011.1)
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建替え決議後①~建替組合の設立

実施段階の目的は、建替え決議による決定を受けて、実際に建替え事業を実施し、新しいマンションへの再入居、新管理組合の設立を実現することです。

「マンション建替え円滑化法」という新しい法律
区分所有法は、建替え決議については規定していますが、決議成立後の建替え事業の実施についてはなんら規定していません。
しかし、実際の建替え事業においては、この段階で問題が発生し、事業を円滑に進めていくのが困難になることが少なくありませんでした。
この状況を改善するために、平成14年6月に「マンション建替え円滑化法」という新しい法律が施行され、建替え決議成立後の円滑な事業の実施が可能となりました。

マンション建替組合の設立
建替組合の設立
建替え決議が成立すると、建替え合意者5名以上が発起人になって、定款(7条)及び事業計画(10条)を定め、都道府県知事の認可を受けて、マンション建替え組合を設立します。
この建替え組合が建替え事業の事業主体となって事業を進めていくのですが、組合員には建替え合意者以外に、建替え事業に参加することを希望する外部の主体を参加組合員として加えることも可能です(17条)。
これによって、デベロッパー等の事業協力者が参加組合員として建替え事業を推進していきます。

参加組合員以外にも、権利変換などに関する経験・知識を有する建築設計事務所、建築都市計画系コンサルタントなどの専門家の協力を得る必要もあります。その選定は、実施段階になって新たに選定することも考えれられますが、建替え決議に向けた計画段階に協力を得た専門家に引き継いで支援を求めることが考えられます。

建替え参加者の4分の3以上の同意
建替組合設立の認可申請をするにあたっては、定款及び事業計画について、建替え合意者及びその議決権の各4分の3以上の多数の同意が必要となります(9条、同2項)。

役員の選任
建替組合には、役員として、理事長1人、理事3人以上、監事2人以上を置きます。

審査委員の選任
建替組合は、審査委員3人以上を選任して置く必要があります。権利変換計画などで建替組合内で協議がまとまらない場合に、この審査委員の過半数の同意が必要となります(67条、83条2項)。
一級建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士などの専門家が考えられます。

☞参考:マンション再生協会発行「マンションの再生」
     国土交通省「第2章 建替え決議後の合意形成の進め方
            (定款や事業計画の内容など有り)  マンション建替えTOPに戻る

建替え決議後②~建替え不参加者への売渡請求

建替組合設立後、建替組合は建替え事業に参加しない区分所有者に対して、その区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すように請求することになります。

売渡し請求を行う対象者の確定
建替え決議成立後、遅滞なく、その集会の招集者(管理組合理事長)は、建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対し、建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告します。
催告を受けた者は、その日から2ヶ月以内に参加の有無を回答しなければなりません。期間内に回答しなかった者は、建替えに参加しない旨を回答したとみなされます(区分所有法63条)。
この手続により建替えに参加しない区分所有者が確定し、区分所有権及び敷地利用権の売渡し請求を行う対象者が確定します。

建替え不参加者への売渡し請求
区分所有法の規定に基づき、建替え参加者個人、又は建替え参加者全員の合意により選任された(「買受指定者」という)も売渡し請求権を行使することもできますが、組合施行の建替えの場合、建替組合がこの売渡し請求を行使することができます。

売渡し請求権は「形成権」と解釈されており、売渡し請求を行った者の意思が相手方(建替え不参加者)に到達した時点で契約が成立したものとみなされます。

建替組合による売渡し請求は、建替組合の設立認可の公告の日から2ヶ月以内に実施します。ただし、その公告の日が区分所有法第63条第2項の期間(催告が到達した日から2ヶ月)の満了の日前であるときは、区分所有方第63条第2項の期間の満了の日から2ヶ月以内となります。
また、建替組合による売渡し請求は、建替え決議等の日から1年以内に実施しなければなりません(15条)。

☞参考:国土交通省「第2章 建替え決議後の合意形成の進め方

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建替え決議後③~権利変換計画

旧マンションの権利が建替事業参加者で全て保有されると、組合は「権利変換計画」を定めます。
権利変換計画とは、建替え前の旧マンションの区分所有者や借家人、抵当権等の権利が、建替後の新マンションにどのように移行するのか、その権利関係を定めた計画のことです。
この権利変換手続について、区分所有法では配慮が無く、個別に賃借人や抵当権者と話合いをして解決するしかありませんでした。建替え円滑化法では、専有部分の賃借人や区分所有権又は敷地利用権に対する抵当権者等についても、権利変換することが明確に規定されています。

権利変換計画の策定

権利変換手続開始の登記
建替組合は、旧マンションの区分所有権や敷地利用権等の権利について権利変換手続開始の登記の申請を行います(55条)。
建替えにより新マンションに移行することになる区分所有権等について、その事実を知らないで行われる取引を防止するためです。このため、この登記があった後は、建替組合の承認がない限り、区分所有権等の売買はできません。
ただし、建替組合は建替え事業に重大な支障を生ずることなど正当な理由がある場合を除いてはこの承認を拒むことはできません。

権利変換を希望しない旨の申し出等
建替えに参加する意思を表明していたものの、その後建替えへの参加を取りやめる者が出てくるかもしれません。建替え前のマンションについて区分所有権及び敷地利用権を有する者は、建替組合の設立認可の公告から30日以内であれば、権利変換を希望せず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ることができます(56条)。

審査委員の同意
権利変換計画を定める場合は、審査委員の過半数の同意を得る必要があります(67条)。建替組合の設立時にその総会において、審査委員3人以上を選任しておく必要があるのはこのためです。

権利変換計画についての同意
①組合員の5分の4以上の同意と反対者に対する売渡請求等
権利変換計画については、総会における組合員の議決権及び持分割合(建替組合の専有部分が存しないものとして算定した旧マンションについての区分所有法第14条に定める割合)の各5分の4以上の多数で決することになります(30条3項)。
しかし、建替後の新マンションの住戸位置等への不満から、権利変換計画案に納得できない組合員が出てくることも考えられます。これまでの建替え事例でも、住戸選定の結果を不服として、建替え事業そのものに反対しはじめるような区分所有者が現れたケースも報告されています。
このため、建替え円滑化法では、事業を円満に推進するために、権利変換計画の議決に賛成しなかった組合員に対し、当該議決があった日から2ヶ月以内に、区分所有権及び敷地利用権を時価で買い取るべきことを請求できることを認めています(64条)。
②建替組合員以外の権利者の同意
建替組合員以外で、建替え前の旧マンション又はその敷地に権利を有する者についても、権利変換計画についての同意を得る必要があります(57条2項)。借家権者についてはその全員の合意を得る必要があります。
一方、住宅を担保に融資を受けていた場合の抵当権者については、原則として、その全員の同意が必要となります。(抵当権者については、どうしても同意が得られない場合、その理由が正当なものである場合には、都道府県知事の認可がなされます。)

隣接地を含めた建替えにおける同意の範囲
区分所有法改正おいて、新旧マンションで敷地の範囲を同一のものとするという要件が緩和され、これにより隣接地を含めた建替えを実施することが可能となりました。
この場合、建替組合は、権利変換計画について、建替後の新マンションの敷地となる隣接地について権利を有する者の同意を得る必要があります。

☞参考:国土交通省「第2章 建替え決議後の合意形成の進め方
(2013.7)
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建替え決議後④~権利変換

権利変換計画が認可されると、権利変換期日において、区分所有権及び敷地利用権その他の権利が権利変換計画に定められた権利者に帰属することになります。
権利変換期日までに、権利変換に伴い権利を失う者に対しては補償金を支払う必要があります(75条)。権利変換後は、新マンションの敷地に関する権利について登記を行います(74条)。

☞参考:国土交通省「第2章 建替え決議後の合意形成の進め方
(2013.7)
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建替え決議後⑤~実施設計の確定と建替え工事の実施

立て替え工事の実施
権利変換計画が決定し、最終的な建替え参加者が確定すると、住戸の個別設計などの最終調整を行い実施設計を確定します。
それに基づいて、建替組合と建設会社の間で工事請負契約を締結します。

その後、占有者等に対し、住戸の明け渡しを行うよう請求します。明け渡しが完了すると、いよいよ旧マンションの解体・新マンションの着工になります。

建設工事中に、権利変換により区分所有権を与えられる者と借家権を与えられる者との間で借家条件の協議を行います(83条)。工事完了の公告までに協議が整わない場合には、審査員の過半数の同意を得て、建替組合が家賃等の裁定を行います(83条2項)。
工事完了後は、新マンションに関する登記などを行います(82条)。

☞参考:国土交通省「第2章 建替え決議後の合意形成の進め方
(2013.7)
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建替え決議後⑥~再入居と新管理組合の設立

新マンションが竣工し、工事完了後の登記や清算等の手続が全て終了すると、ようやく建替え事業が完了します。工事期間中に仮住居等に移転していた参加者は、再入居を行い、新しいマンションでの生活がスタートします。これに伴い、新たな管理組合が設立します。
建替え参加者は、新管理組合の設立までの間に、新しい管理規約や管理体制、管理組合費等についての検討を行い、新マンションの管理がスムーズに開始されるようにしておきます。

管理規約の作成
新マンションの管理規約等についてどのタイミングで検討を開始するのかを考える必要があります。
建替え決議前の段階であれば時間をかけた議論ができますが、新管理規約の問題から建替え決議に反対する者が現れるなど合意の過程が混乱する可能性があります。逆に遅すぎれば、すでに始まっている事業に対して反対が表明されることになり、対応が複雑になることが考えられます。
問題となりそうな論点については、建替え計画の検討段階であらかじめ意見交換をしておくことが望まれます。

なお、建替え円滑化法では、施工者である建替組合が、都道府県知事の認可を受け、新マンションについての管理規約を定めることができると規定されています(94条)。

☞参考:国土交通省「第2章 建替え決議後の合意形成の進め方
(2013.7)
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