マンションの防水工事2



アスファルトルーフィングの種類

主なアスファルトルーフィング類は以下のとおりです。
  • 古紙を原紙とした「アスファルトルーフィング
  • 合成繊維不繊布(ふしょくふ)製を原反とした「ストレッチルーフィング
  • 合成高分子系改質剤で改質したアスファルトを繊維質シート等で補強した「改質アスファルトルーフィング

・アスファルトルーフィング各種のJIS規格品はこちらです。
(一般に言う「アスファルトルーフィング」は、JIS規格品内「JIS A 6022 ストレッチアスファルトルーフィングフェルト」です)

<ストレッチルーフィング商品例>
ストレッチルーフィング例
<改質アスファルトルーフィング商品例>

改質アスファルト商品例

☞参考 田島ルーフィング アスファルト防水部材一覧
(2009.7)
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アスファルト防水の工法

アスファルトルーフィング工業会によると、以下のように分類されています。
熱工法
溶融アスファルトを用いる「在来熱工法」から、溶融改質アスファルトを用いる「熱工法」。溶融アスファルトまたは溶融改質アスファルトを流し、アスファルトルーフィングまたは改質アスファルトルービングシート類を張り重ねる工法。
自着工法
溶融アスファルトのかわりに粘着層を設けた改質アスファルトルーフィングシートを張る工法。
トーチ工法
改質アスファルトルーフィングシートの裏面等をトーチバーナーであぶり、表層の改質アスファルトを溶融させながら張る工法。
接着工法
塗膜防水材料などの異種防水材料と組み合わせた工法。

田島ルーフィングHPでは以下のように分類されています。
冷熱工法
第1層目にアスファルト防水冷工法を採用し、2層目以降に熱工法でルーフィングを積層して形成する防水工法。冷工法の特徴である軟接着と、熱工法の特徴である高い水密性を併せ持つ工法で、露出防水・押え防水・各種仕上げ防水・高耐久性防水など様々な仕様がラインナップされている。
冷工法
ゴムアスファルト粘着層をコーティングした改質アスファルトシートを貼り重ね積層していく防水工法。自着工法や常温工法とも呼ばれる。
トーチ工法
次世代アスファルト防水BANKS工法

<写真/トーチ工法の様子>

トーチ工法

☞参考 アスファルトルーフィング工業会>防水工法の種類と特徴
      田島ルーフィング>建築防水
(2009.7)
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防水層の耐用年数

防水層の種類により、標準耐用年数は次のようになっています。

 ・塗膜防水 10~13年
 ・シート防水 13~15年
 ・アスファルト防水 (露出)13~15年  (押さえ)17~20年

以下の資料はDr.ルーフ「防水」改修読本より。
防水層の耐用年数
建設省総合開発プロジェクト(昭和55〜59年)の「建築防水の耐久性向上技術」資料より引用・(  )内の年限は、田島ルーフィング(株)の経年防水層分析試験など、独自研究データによる推定耐用年数
☞参考 Dr.ルーフ「防水」改修読本 田島ルーフィング/防水改修のご提案
(2009.7)
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防水改修3工法の比較(撤去・かぶせ・機械式固定)

改修工事では、材料を選定する前に、どのような工法で改修するか決めておく必要があります。
現状の防水層を剥がしてやり直す「撤去工法」か、現状の上に新規防水層をかぶせる「かぶせ工法」か、それとも下地に穴を開けて新規防水を固定する「機械的固定工法」か、それぞれの特徴を見てみましょう。

撤去工法
既存防水層を全面撤去し、新築時の下地に新規防水層を施工する。
この工法のメリット
・新規防水に様々な工法の選択が可能。
考察
 既存防水層が撤去すべき状況の場合は、撤去工法を採用しながら、次回改修時に
 にはかぶせて改修が可能な仕様を選定するとメリットがある。

かぶせ(再生)工法
既存防水層の不良部のみを撤去し、適切な下地処理を施した上で、新規防水層をかぶせて施工する。
この工法のメリット
・騒音、振動が少ない。
・撤去工法に比べ、工期短縮が可能。
・撤去工法に比べ、安価。
・既存の防水性能が期待できる。(機械的固定工法は既存防水層の機能が完全に
 失われる。
・産業廃棄物が少ない。
考察
 既存防水層を再度下層防水層として利用しながら新規防水層を形成するため、信
 頼性・耐久性が高い。現在の防水改修の主流。

機械的固定工法
かぶせ工法の一種。既存防水層の上から、下地に穴を開けて新規防水層をアンカー固定する。
この工法のメリット
・撤去工法に比べ、工期短縮が可能。
・下地処理が簡略化できるため、安価。
・産業廃棄物が少ない。
ALCなど下地構造の問題を除き、既存防水層との相性を考慮せず、採用が可
 能。(かぶせ工法の場合は相性を考慮する必要有り。)
考察
 既存防水の状態が非常に悪い場合は、メリットあり。次回改修は原則撤去工法に
 なる。


防水の3工法

参考:田島ルーフィング㈱発行「「防水」改修読本」
(2009.7)
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納まりとは

防水層の裏側に水が回り込まない仕組みをつくることを「納まり」といいます。

納まり
笠木部分にひび割れが多く発生している場合、雨水が浸入しやすくなっています。
このような場合は対策として塗膜防水を新設し、アゴテープ(※)などで笠木に水切りをつけます。
水切り
※アゴテープとは
 笠木部の見つけ面に貼る事で簡易に水が切れるようにできるウレタン防水専用の
 水切りテープ。

参考:田島ルーフィング㈱発行「「防水」改修読本」
(2009.7)
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防水金物とは

防水工事には様々な工程がありますが、最後の仕上げとして絶対に欠かせないのが防水金物の取り付けです。
金物には代表的な「押さえ金物」のほか「水切り金物」「笠木」があります。

■押さえ金物
防水層がめくれないように端部を留めます。
押さえ金物

■水切り金物
その名のとおり、水が侵入しないように取り付けます。
水切り金物
■笠木
パラペット上部から水が浸入しないように取り付けます。

笠木
☞参考 欠陥住宅って何?>マンション大規模工事4 
(2013.7)
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FRP防水とは

FRPは繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称で、ガラス繊維などの強化材(補強材)で補強したプラスチック、という意味です。
FRPは数々の優れた特性を持っており、例えば強度・耐水性・成型性が優れていることから、船舶、水槽、バスタブ、波板、自動車、屋根材等として広く使用されています。

FRP防水は、上記のような優れたFRPの特性を防水分野に応用したもので、防水層は軽量かつ強靭、耐熱性・耐食性・耐候性などに優れているという特長があります。
FRP防水は、液状の不飽和ポリエステル樹脂に硬化剤を加えて混合し、この混合物をガラス繊維などの補強材と組み合わせて一体にした塗膜防水です。
従って出来上がった防水層は、継ぎ目のないシームレスな層となり、優れた防水性能を発揮します。

建築防水としての歴史はまだ浅く、木造住宅のバルコニーに適用された実績が多いのですが、最近では保護コンクリートの上からかぶせる屋上防水改修工法として使われることも多くなっています。

参考:FRP防水材工業会
(2013.7)
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