マンション管理標準指針(建物の維持管理)


法定点検

標準的な対応
建築基準法等の関連法令に基づく建物・設備の法定点検について、年間計画を作成し、区分所有者等に周知したうえで実施している。

コメント(抜粋)
  • 一定規模の以上のマンションについては、建築基準法や消防法、水道法その他の法律により建物や設備を定期的に調査及び点検し、行政庁又は関係機関に報告することが管理組合(管理者)等に義務付けられています。なお、建築基準法に基づく建物や設備の定期調査・検査については、その報告内容が特定行政庁において閲覧されます。
  • 法定点検の具体的な作業は、有資格者が行うため、専門業者等に依頼することになるでしょう。なお、管理会社への委託業務に含めている場合には管理会社を通じて行うこととなります。
  • しかし、法令上はあくまでも管理組合(管理者)に義務付けられていますので、専門業者等に依頼した場合であっても、管理組合として、実施状況を把握しておく必要があります。ついては、年間スケジュールを作成し、区分所有者等にも周知しておくことが重要ですので、これを「標準的な対応」としました。
    なお、点検の結果、不具合があった場合は、応急措置(修繕工事)を行うか、建築士等の専門家に依頼して修繕工事のための調査・診断を行い、必要な措置を施さなければなりません。

参考(抜粋)
・標準管理規約第32条
・法定点検の例
マンション管理標準指針 定期点検
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定期点検(法定点検以外)

標準的な対応
建物・設備に関して、定期的に点検を実施している。

コメント(抜粋)
  • 法定点検以外で定期的に行われる点検としては、(1)昇降機の日本工業規格に基づく点検、機械式駐車場の点検など保守契約による点検と、(2)管理組合が建物・設備全体を自主的に点検するものがあります。
  • 実際には(1)及び(2)を法定点検と併せて管理会社への委託管理業務に含める場合と、(1)は制作メーカー、サービス会社などの専門業者と戸別に保守契約を締結、(2)は、管理組合の役員が自ら巡回して行う場合があります。

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長期修繕計画の作成・見直し

標準的な対応
調査・診断を行い、建物・設備等の状況を把握したうえで、(1)~(5)の全ての項目について定めている。

参考
・適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
標準管理規約第32条(業務)第三号・コメント(1)~(3)

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長期修繕計画の作成・見直し(1)計画期間

標準的な対応
25年程度としている。(新築時30年程度としている)

参考
・適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
標準管理規約第32条(業務)コメント(2)の1

※コメントは省略しています。

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長期修繕計画の作成・見直し(2)修繕工事項目

標準的な対応
調査・診断の結果に基づいて、別表に掲げる18項目のうち、必要な項目の工事内容を定めている。

望ましい対応
社会的背景や生活様式の変化等に応じ、性能向上(グレードアップ)工事の項目を計画に含めている。

別表
マンション管理標準指針 修繕工事項目

コメント(抜粋)
  • (財)マンション管理センターが作成した「長期修繕計画作成と見直しの手引き」において、長期修繕計画の修繕工事項目を、大項目として建築、設備、外構、その他調査等に区分し中項目として屋根防水、外壁等の19項目を標準としています。
    (「同手引き」において想定されているマンションは、この指針が対象とするマンションと一致するものです。)

参考(抜粋)
・適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
標準管理規約第32条(業務)コメント(2)の2

※コメントは省略しています。

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長期修繕計画の作成・見直し(3)修繕周期

標準的な対応
部材の耐用年数、修繕履歴等を踏まえ、調査・診断の結果に基づいて設定している

コメント(抜粋)
  • 修繕周期については、様々なものがありますが、(財)マンション管理センター発行の「長期修繕計画作成と見直しの手引き」に示されている修繕周期を一つの目安として参考にして下さい。

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長期修繕計画の作成・見直し(4)修繕工事費

標準的な対応
修繕工事項目、部位ごとに、仕様、数量、単価等の工事費の算出根拠を明確にしている。

参考
標準管理規約第32条(業務)関係コメント(1)

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長期修繕計画の作成・見直し(5)収支計画

標準的な対応
修繕工事費の計画期間の累計額が示され、その額を修繕積立金の計画期間の累計額が下回らないように計画している。

参考
・適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)

※コメントは省略しています。

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見直し時期

標準的な対応
5年度ごとに見直しを行っている。

参考
・標準管理規約第32条(業務)関係コメント(2)

※コメントは省略しています。

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長期修繕計画書の保管・閲覧

標準的な対応
区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。

コメント(抜粋)
  • 標準管理規約では、長期修繕計画の作成又は変更と修繕積立金の額の変更は、総会決議事項とされています。修繕工事の実施や修繕積立金の徴収に関して各区分所有者の理解を得やすくするためにも、長期修繕計画を作成又は見直したときは、総会の議事録等として、戸別配布などの方法により、各区分所有者に周知する必要があります。

参考
・適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
・標準管理規約第48条(議決事項)第五号

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修繕積立金の額(住戸あたり)

標準的な対応
概ね、適切な長期修繕計画に基づいて算出される必要修繕積立金の負担割合に応じた額としている。(駐車場使用料等からの繰入金を含む)

コメント(抜粋)
  • 各区分所有者が積み立てる修繕積立金の額については、長期修繕計画を参考に決定している管理組合の割合が、総合調査では77.1%で前回調査から9ポイント増加しています。

参考(抜粋)
  • 平均的なモデルマンションを想定して、(財)マンション管理センターの「修繕積立金算出システム」により、経年別の修繕積立金(月当たり戸当たり)の見直しの目安となる額を別表にまとめましたので、参考にしてください。
  • 【総合調査】修繕積立金の設定根拠
    長期修繕計画の必要額を参考(77.1%) 管理費の一定割合(10.5%)
  • 【総合調査】戸当たり修繕積立金
    平均額(9,066円/月・戸) 駐車場収入等を含む平均額(10,967円/月・戸)
  • 【H16調査】修繕積立金の徴収済み額
    駐車場収入等を含む平均額(9,826円/月・戸)

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大規模修繕工事の実施

標準的な対応
適切な長期修繕計画に定められた時期を目安とし、調査・診断の結果に基づいて、計画された工事の要否、実施する工事内容等を決め、実施している。

コメント(抜粋)
  • 大規模修繕工事は、長期修繕計画に定められた時期に行うのが目安ですが、事前に建物や設備について調査・診断を行い、建物や設備の劣化状況を把握して、改めて計画された修繕工事の要否(実施時期)や実施する修繕工事の内容を判断することが重要です。
    また、併せて、経年や区分所有者の要望に応じて性能向上(グレードアップ)工事の実施を検討することが望まれます。

参考(抜粋)
  • 適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
  • 標準管理規約第32条(業務)関係コメント(3)

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耐震性の検討

標準的な対応
必要に応じて耐震診断を行い、専門委員会等において検討している。

望ましい対応
耐震診断の結果に基づいて、必要な耐震改修工事を実施している。

コメント(抜粋)
  • いわゆる新耐震設計法(昭和56年)により建築基準法の耐震基準が改められ、「新耐震基準」と呼んでいます。新耐震基準が適用される以前に建設されたマンションは約100万戸と推計されます。
    このようなマンションは、耐震性が必ずしも十分でないことがあります。地震が発生した際に、被害を最小限にとどめるため、このうち、新耐震基準を満たさないマンションの耐震化は急務です。
  • 新耐震基準が適用されていない(昭和56年5月31日以前に着工した)マンションであって、過去に耐震診断を行った結果、問題なしとされたものや、耐震改修工事をすでに実施したもの以外は、耐震診断の対象として、新耐震設計法に基づく安全性の評価を受けるべきです。
    その結果により、柱の鋼板や炭素繊維シートによる補強、耐震壁やブレースの増設など耐震性を強化する改修工事をできる限り早期に実施することが必要となり、これを長期修繕計画等に設定することが重要になります。

参考
  • 全国のマンションストック戸数

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設計図書の保管・閲覧

標準的な対応
適正化法施行規則第102条に列挙された設計図書を、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。

望ましい対応
適正化法施行規則第102条に列挙された設計図書及び標準管理規約第32条関係コメントの(5)に掲げられている建物の修繕に有用な書類を、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。

コメント(抜粋)
  • 長期修繕計画の見直しや大規模修繕工事の実施に当たって、また、経常の修繕を行う際にも、建物や設備の現状を把握するために、設計図書と修繕工事等の履歴情報が必要となります。
  • 管理組合は、その業務として、分譲会社から引き渡された設計図書を管理事務室等に、大切に保管しなければなりません。
    また、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できるようにすることが必要です。
  • 利害関係人とは、「総会議事録の保管・閲覧」と同じく法律上の利害関係がある者をいいます。

参考
  • 適正化法第103条(設計図書の交付)第1項
  • 適正化法第施行規則第102条(国土交通省令で定める図書)
  • 適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
  • 標準管理規約第32条(業務)第五号・32条関係コメント(5)
  • 適正化指針二の5(長期修繕計画の策定及び見直し等)
  • 【データ(総合調査)】設計図書の保管者 管理組合58.8% 管理業者31.5% 理事長3.6%

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修繕の履歴情報の整理、保管・閲覧

標準的な対応
継続して修繕等の履歴情報が整理され、区分所有者又は利害関係人の求めに応じて閲覧できる状態で保管している。

※コメント・参考は省略しています。

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