マンション管理適正化推進法2
はじめに:国不参(旧:国総動)とは
【2021.3施行】マンション管理適正化法の改正について
IT技術を活用した重要事項説明書等の交付を認めた改正マンション管理適正化法・同政令・同施行規則が、令和3年3月1日施行されました。
同日付で各業界団体の長宛に出された国不参の通達では、従来対面が原則とされた重要事項説明・管理事務報告についても、言っての条件を満たしている場合はITを活用した重説等を対面と同様に扱う、という解釈を示しています。
これを受け、マンション管理業協会では同日付でITを活用した重説書交付・重説会開催等の方法を示したガイドラインを策定・公表しました。(
ページはこちら)。
交付については法改正で、説明・報告については通達で実施を認めることとなりました。(表はマンション管理新聞より)
<改正の背景と概要>
※クリックすると大きな画像が表示されます。
通達は
こちら
→通達内容より:ITを活用した説明・報告の条件概要
- 映像・音声が双方でやりとりできること。
- 説明書・報告書を事前に送付していること。
- 説明を受ける側が映像・音声十分受けられる環境であることを開始前に確認していること。
- 管理業務主任者証を提示し、説明を受ける側が視認できたことを確認していること。
→ホームページ管理者感想:区分所有者全員に行う説明会では一人一人にこの条件をクリアせねばならず(理事会・総会での包括承認は不可)小規模マンション以外では現状は実施困難であろう。
<ガイドライン①【適正化法第72条・第73条・第77条関連】>
重要事項説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法による交付に係る
ガイドライン
<ガイドライン②【適正化法第72条・77条関連】>
ITを活用した管理者等に対する重要事項説明・管理事務報告に係る
ガイドライン
<ガイドライン③【適正化法第72条・77条関連】>
ITを活用した重要事項説明
会・管理事務報告
会に係る
ガイドライン
管理組合への事前に行う意向確認方法について
IT重説会等ガイドライン_説明用
動画 開始6分前後に次のような解説があります。
「意向確認の手法については特段の定めはなく、口頭でも可能ですが、後日トラブル防止の観点から、管理組合を代表して理事長などから書面または電子ファイル、メールのやりとりなど記録として残る形が望ましい。」
☞参考:
マンション管理業協会 動画・資料ページ
☞参考:マンション管理新聞 2021/3/5 第1164号
(2021.3)
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【令和2年(2020年)コロナ対策】管理事務報告・重要事項説明のIT化について
管理委託契約に関する重要事項説明について
重要事項説明とは
管理組合がこれから締結する管理委託契約の内容を充分に把握できるよう、事前にマンション管理業者がその内容を説明するもので、適正化法72条に基づき行う必要があります。
説明する内容は施行規則83条で11項目列挙しています。
重要事項説明会の開催
マンション管理業者は、説明会の日の1週間前(※1)までに、区分所有者全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければなりません(法72条第1項)。
また、組合員が見やすい場所に掲示も行う必要があります(施行規則83条2)。
(※1:
交付した当日は算入されませんので(民法140条)、例えば会日を4月9日とした場合は、4月1日までに交付する必要があります。)
重要事項説明の説明者
重要事項の説明は管理業務主任者が主任者証を提示(法72条4項)して行います。
重要事項説明書に記名押印した主任者と、説明する主任者は
原則として同一人物とします。(
国総動309号)
事故等で作成者が当日説明できない場合は、他の主任者が説明しても差し支えありません。
国総動309号(法72条に規定する重要事項の説明等について)概要
・重要事項説明について
1.施行規則84条以外にも場合によっては説明した方がいい事項がありえること。
2.
(1)重要事項説明書の様式について
(2)重要事項説明書への「記名押印」について
- イ.記名押印する主任者は原則として説明を行う者であること。
- ロ.「押印」は自ら行うこと。
- ハ.区分所有者等に交付する書面は管理者等以外にはコピーで代えることができる。なお、管理者等がいない場合には区分所有者等のうち、いずれか2名に原本を交付し、他の区分所有者には原本を交付した者の氏名を明記し、コピーに代えることができる。
3.説明は法56条1項の成年者である「専任の」管理業務主任者が行うことが
望ましい。
4.説明の相手が団地組合の場合について
5.「従前の管理受託契約と同一の条件」について
6.その他
・「契約成立時の書面の交付」について
1.書面の交付は更新契約の際にも行うこと。
2.更新契約の場合は、変更した以外の部分についてはコピーで差し支えないこと。
3.「記名押印」については2(2)ロ・ハと同様に解釈すること。
・「専任の管理業務主任者」の専任性について
1.法第56条1項の専任とは。
2.宅地建物取引業法の「専任の取引主任者」と兼務できないこと。
新築マンションの場合
新築マンションで、契約が工事完了から1年以内に満期が来る場合、重要事項説明は必要ありません(法72条)。
1年を超える場合は必要です(
国総動86号→令和3年廃止:
国不参51号)。
管理者等の選任状況による重要事項説明の方法
(※クリックすると大きな画像が出ます。)
高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A」(平成22年4月)より
(2020/6・2021/3追記)
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「同一条件」の範囲とは
「従前と同一の条件」とは、契約内容が同一である場合の他、
国総動309号によれば、「マンション管理業者の商号又は名称、登録年月日及び登録番号」の変更に加え、以下に関しての軽微な変更も含まれる、としています。
- ①従前の管理委託契約と管理事務の内容及び実施方法を同一とし、管理事務に要する費用の額を減額しようとする場合
- ②従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合
- ③従前の管理受託契約に比して管理事務に要する費用の支払の時期を後に変更(前払いを当月払い若しくは後払い、又は当月払いを後払い)しようとする場合
- ④従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合
- ⑤管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合
以下に、実務上における同一条件である場合、同一条件でない場合の区分例を示します。
(※クリックすると大きな画像が出ます。)
【参考】
管理組合に不利益を与えないために、同一条件として判断することが可能な事例
- 例えば、1年間の従前と同一条件による契約を更新しようとするときに、協議が整わず3ヶ月間の暫定契約を締結する場合は契約期間の短縮になるため「同一条件」に該当します。その後協議が整い1年間の契約を締結する場合は、契約内容が従前のものと同じでも契約期間の延長になるため「同一条件でない」が該当します。
☞参考:高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A(平成22年4月)」
(2011.1)
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「重要事項」の具体的内容について(施行規則第84条関係)
法72条1項に定める「重要事項」について、規則第84条で次のような項目をあげています。
(※クリックすると大きな画像が出ます。)
その他、契約の内容によっては、上記に掲げる事項以外にも説明が望ましい事項があり得ることに留意する必要があります。
重要事項説明書の様式は、
高層住宅管理業協会のホームページからダウンロードすることができます。
☞参考:高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A(平成22年4月)」
(2011.1)
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管理組合が設立されていない新築マンションの重要事項説明(72条・国総動86号関係)
管理業者は、管理委託契約を締結しようとするときに、あらかじめ管理組合の理事長等及び区分所有者等全員に重要事項説明をしなければならないとされていますが、事業主から最初の購入者に専有部分が引き渡されるより前は区分所有関係が成立していないので管理組合が設立されていませんし、理事長等及び区分所有者等も存在しません。
したがって、最初の引渡しと同時に管理委託契約を締結する場合は、締結より前に説明会を開催して重要事項を説明することは物理的に不可能です。
このため、法第72条第1項では「当初の管理委託契約の期間が建設工事完了の日から1年以内に満了するもの」に限って、重要事項説明の規定を適用しないことにしています。
最初の引渡しと同時に管理委託契約を締結する場合は、管理組合の集会による決議もあらかじめ行うことが物理的に不可能であるため、区分所有法第45条に基づく書面決議による決議で行われることが一般的です。
この場合、区分所有者等になる予定の者(売買契約締結者等)が管理委託契約の締結について承認した書面を、マンションに区分所有関係が成立した時点で、書面決議による合意書面とする方法がとられています。
なお、新たに建設されたマンションの建設工事の完了の日から1年を超えるものについては、原則にかえって説明会を開催し、重要事項をする必要があります(国総動86号)。
※建設工事完了の日とは
建築基準法施行規則別記第19号様式(完了検査申請書)第3面中の「工事完了年月日」が基準とされています(国総動第86号→令和3年廃止:
国不参51号)。
☞参考:高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A(平成22年4月)」
(2011/1・2021/3追記)
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店舗管理組合への重要事項説明
単棟の複合用途型マンション内に、全体管理組合以外に店舗の区分所有者で構成する管理組合(店舗管理組合)がある場合、店舗管理組合と管理委託契約を締結しようとするときにも、重要事項説明は必要でしょうか。
当該建物に店舗の他に住居がある場合は適性化法上のマンションに該当し、店舗管理組合が管理する一部共用部分も、当然マンションの一部となります。
したがって、店舗管理組合から一部共用部分の管理事務の委託を受けて行う場合もマンション管理業に該当し、店舗管理組合の理事長等及び区分所有者等に対し重要事項が必要となります。
☞参考:高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A(平成22年4月)」
(2011.1)
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同一条件で更新する場合の重要事項説明
従前の管理委託契約と同一の条件で管理委託契約を更新する場合は、説明会の開催は不要です。
この場合、管理業者は、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付しなければなりません。また、当該管理組合に管理者等が置かれているときは、当該管理者等に重要事項説明書を交付して説明する必要があります。
なお、管理組合の管理者等の設置状況に応じた重要事項説明の方法等は以下の通りです。
☞参考:高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A(平成22年4月)」
(2011.1)
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重要事項説明後に管理組合から減額を要請→再度説明は必要か?
重要事項説明後に管理組合から委託業務費の減額など契約条件の変更を要請される場合があります。
重要事項説明は、管理委託契約締結の前に、管理業者が管理委託契約に係る重要な事項を説明することによって、管理組合に契約内容の検討や理解の機会を与えようとするものです。したがって、重要事項説明をした後に、管理組合からの要請により契約内容を変更することになった場合は、
改めて重要事項を説明する必要はありません。
ただし、管理委託契約締結後、契約内容を変更する場合は、法第72条に基づき重要事項説明(同一の条件に該当しない場合は重要事項説明会)が必要です。
☞参考:高層住宅管理業協会発行「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 実務Q&A(平成22年4月)」
(2011.1)
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