区分所有法 2 (第1条~21条)


第1条【建物の区分所有】

一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

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第2条【定義】

この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をおいう。
  1. この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
  2. この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
  3. この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
  4. この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
  5. この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
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第3条【区分所有者の団体】

区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
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第4条【共用部分】

数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
  1. 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

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第5条【規約による建物の敷地】

区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
  1. 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときも、同様とする。
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第6条【区分所有者の権利義務等】

区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
  1. 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は事故の所有に属しない共用部分の使用の請求をすることができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
  2. 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。
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第7条【先取特権】

区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(許容部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人が職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
  1. 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
  2. 民法第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。
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第8条【特定承継人の責任】

前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
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第9条【建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定】

建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
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第10条【区分所有権売渡請求権】

敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すことを請求することができる。
原則として、敷地利用権のない区分所有者が生ずる可能性はありません。しかし、敷地利用権が賃借権である場合、賃料の不払いにより賃貸借契約が解除され、敷地利用権を失う場合があります。また、タウンハウスのように、敷地を各専有部分の底地ごとに分筆する場合も敷地利用権のない区分所有者が生ずる可能性があります。 区分所有法 TOPに戻る

第11条【共用部分の共有関係】

共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
  1. 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
  2. 民法第百七十七条の規定は、共用部分には適用しない。
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第12条

共用部分が区分所有者の全員又はその一部の共有に属する場合には、その共用部分の共有については、次条から第十九条までに定めるところによる。 区分所有法 TOPに戻る

第13条【共用部分の使用】

各共有者は、共用部分をその用法に従って使用することができる。
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第14条【共用部分の持分の割合】

各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
  1. 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
  2. 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
  3. 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

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第15条【共用部分の持分の処分】

共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
  1. 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。
分離処分ができる場合 ①共用部分の管理の便宜のため、共用部分を管理者の単独所有形態(「管理所有」と呼ばれている)にする場合(法11条2項、27条1項)、②規約で持分の割合を変更する場合(法14条4項)。
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第16条【一部共用部分の管理】

一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。
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第17条【共用部分の変更】

共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この 区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる
  1. 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

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第18条【共用部分の管理】

共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
  1. 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
  2. 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
  3. 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。
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第19条【共用部分の負担及び利益収取】

各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
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第20条【管理所有者の権限】

第十一条第二項の規定により規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。
  1. 前項の共用部分の所有者は、第十七条第一項に規定する共用部分の変更をすることができない。
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第21条【共用部分に関する規定の準用】

建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。
附属施設について 標準管理規約では、別表第1「対象物件の表示」の「附属施設」として「駐車場施設、自転車置場」などを挙げています。また別表第2「共用部分の範囲」では「玄関ホール、エレベーター設備」などを列挙しています。 区分所有法 TOPに戻る